複数のデータが示す「景気上向き」の兆し
OECD景気先行指数
さらに、[図表7]で示すとおり、経済協力開発機構(OECD)が算出する米国の景気先行指数は、このところ上向きになっています。
同指数は、景気の転換点を予測・把握するために、景気循環に先行する傾向がある経済指標を合成して作られる指数です。転換点を予測・把握するという趣旨に沿えば、米国の景気は「底」を脱しつつあるのかもしれません。
企業業績も「底打ち~上向き」の兆し
別途、[図表8]で示すとおり、S&P500の1株利益を前年同月比でみると、実績12ヵ月【緑色のライン】は前年比ほぼゼロ%付近でこのところ横ばいとなっているほか、予想12ヵ月利益【オレンジ色のライン】はすでに5ヵ月連続でプラスです。
「アナリストの予想は当たらない」という見方もありますが、[図表8]にしたがうと、予想利益の前年比【オレンジ色のライン】は景気循環と合っているようにみえます。
在庫・売上高循環も「底打ち~上向き」の兆し
次に、卸売在庫と卸売売上高をそれぞれ前年同月比でとると、[図表9]に示すとおり、在庫【オレンジ色のライン】はマイナスに転じており、過去に積み上げられた在庫が圧縮されているほか、売上高【青色のライン】は前年比でゼロ%あたりまで回復しており、「在庫・売上高」の循環に従えば、米国の短期の景気循環には「底打ち~上向き」の兆しがあるようにみえます。
金融緩和期待が景気を刺激する可能性
さらに、金融市場による「前のめり」の金融緩和期待はすでにリスクテイクにつながって株高が生じていますし、株高が景況感と実際の景気(=需要)を押し上げる可能性も十分に考えられます。
金利低下も小型株式が堅調な背景は、景気回復とインフレを見ているため?
ここ数年の株式市場の動向を思い出すと、金利が低下するときには米国大型成長株式がその他の株式市場(たとえば、割安株式や小型株式)に比べて優位になる状況がつづいてきました。
ただ、昨年11月以降は、金利が低下したにも関わらず、米国小型株式が同大型成長株式よりも相対的に優位になる状況が生じています。
通常、「米小型株式は米国景気が堅調でインフレ傾向にあるときに優位になりやすい」ことから、株式市場も今後の景気回復やインフレを見始めているのかもしれません。
まとめ…2024年も「上下決め打ちせず」分散投資で
以上、みてきたように、もしかしたら、米国経済は金融市場がみているよりも強く、金融市場がみているほどの利下げは実施されない可能性もあります。
2024年についても「短期予想に頼らない、短期変動に動じないポートフォリオをつくる」ことがよいでしょう。フェアバリューで見て、割高ではないものに分散投資をしたいところです。
筆者は時折、予想めいたことを書きますが、話半分で受け止めていただければ大変幸いです。
それでは2024年もよろしくお願い申し上げます。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
注目のセミナー情報
【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意
【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走