(※写真はイメージです/PIXTA)

インフレの高止まりが続き、FRBによる利下げ可能性が後退している米国市場。しかし、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は、「利下げは引き続き、年内3回程度実施される可能性がある」といいます。その根拠と、実施される場合・見送られる場合それぞれの金融市場の展開について、詳しくみていきましょう。

FRBは利下げできるのか?…筆者が考える「4つ」の問い

米国景気の堅調さを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が後退しつつあります。「FRBが利下げできるのか」について、いくつかの想定問答に答えてみました。

 

[図表1]米国の非農業部門雇用者数(前月からの増減)
[図表1]米国の非農業部門雇用者数(前月からの増減)

 

Q1.米国景気は堅調だが、利下げはある?

筆者は引き続き、FRBによる金融緩和は近く、利下げは(たとえば)年内に3回程度、実施される可能性があると考えています。

 

その主な背景は、①米国は4つの債務(政府、中銀、市中銀行、非金融・民間部門)について問題を抱えており、②歴史は中央銀行が債務者を(金融緩和とそれにつづくインフレによって)救済することを示唆するためです。

 

Q2.利下げする場合、FRBは「どんな理由」で正当化する?

もちろん、FRBは「債務者を救うために金融緩和を行う」とは言えません。これを言えるのはいつも決まって「金融危機が生じてから」です。日本の住専問題や米国のTARP(不良債権救済プログラム)に対する有権者の反応と同様に、有権者は、自身も痛みを感じるまで、債務者の救済を許容しません。

 

その代わり、FRBは「インフレ率の鈍化で高まった実質政策金利を引き下げるため」と主張するでしょう。インフレが鈍化した分の「調整利下げ」です。

 

たとえば、コアPCEインフレ率は、FRBが利上げを「5.25~5.5%」(→以下「5.3%」)で打ち止めた昨年7月の「4.2%」から、直近2月には「2.8%」まで低下しています。

 

その時点から考えても、「実質政策金利」は、昨年7月時点では「1.1%(=5.3-4.2)」であったものが、直近では「2.5%(=5.3-2.8)」まで上昇しています。

 

[図表2]米国の実質政策金利(政策金利-インフレ率)と、FRBが考える(米経済にとって中立な)長期の実質政策金利
[図表2]米国の実質政策金利(政策金利-インフレ率)と、FRBが考える(米経済にとって中立な)長期の実質政策金利

 

すなわち、昨年8月以降、一切の利上げを実施していなくても、インフレ率の鈍化によって自然に引き締めの強度が高まっている状態です。

 

直近3月のFOMC四半期見通しによれば、FRBが「経済に対して長期に中立」と考える「実質政策金利」の水準は、「0.6%(=2.6-2.0)」ですから、FRBの「中立金利」に関する見立てが正しいと仮定すれば、直近の「2.5%」は引き締め的ですし、引き締めの程度は強まっています。

 

このように、インフレの鈍化で自然に高まった実質政策金利を引き下げるのが、利下げの理屈付けと考えられます。

 

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