(※写真はイメージです/PIXTA)

院内の移動が多い看護師。医療DXはこうした医療従事者の業務の負担を軽減し、効率化するのに大きく役立ちます。本記事では石川記念会HITO病院(愛媛県四国中央市)の村山公一氏が同院の成功事例をもとに、医療従事者の働き方改革を伴う医療DXの進め方について解説します。

医療DXの本質

DXとはデジタルツールを導入することではありません。DXはトランスフォーメーションですから、デジタルツールなどを活用して病院の課題解決を行い、病院組織をよりよく変革していくことになります。

 

「組織変革を起こす」と聞くと、どこかみんなが大変な思いをして組織を変えていくといったイメージがあるかもしれません。しかし「もっとこうしたらいいのに」「こうだったら楽なのに」といった気づきを拾い上げて1つずつ改善していくと、それが結果的に組織全体の変革につながっていくでしょう。

 

医療職の方と話していると、たとえば「夜勤のときにカートの音で患者を起こしたくない」といった具合に、とても丁寧にご自身の関心を語ってくれます。このように上がってくる要望に対して改善を加えてスムーズにしていく活動の繰り返しですから、DXは「難しいこと」ではなく「楽しいこと」なのです。

 

筆者は院内にDX推進の火をつける役回りなのですが、逆に病棟の皆さんから日々感謝されて、筆者のほうが火をつけてもらっているのを感じます。

トップダウン型のDX推進体制を構築

より具体的なことを話していきます。

 

当院では、経営トップである理事長の直轄部門として「DX推進室」があります。臨床の立場から脳神経外科医1名がCCTO(Chief Clinical Transformation Officer)として、当院のDXを統括して調整する役割のCTO(Chief Technical Officer)、技術を担当するHIA(Hospital Infrastructure Architect)の筆者が、チャットグループなどでタイムリーに相談・提案を行いながら業務推進しています。2023年4月にSEも加わったので、4人体制となりました。

 

「DX推進室」を理事長直轄にするメリットは、承認などがスピーディに行え、すぐに実行できる点にあります。DX推進を担当する「攻め」のチーム、保守やセキュリティ対策を行う「守り」のチームの両方をCTOが統括しながら、課題解決につながるツール導入とその検証、方針の調整などをアジャイル開発の考え方に基づくアプローチで進めています。

 

筆者作成
[図表1]トップ直轄の3つの視点を持つ推進体制を創る出所:筆者作成
 

 

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