(※写真はイメージです/PIXTA)

院内の移動が多い看護師。医療DXはこうした医療従事者の業務の負担を軽減し、効率化するのに大きく役立ちます。本記事では石川記念会HITO病院(愛媛県四国中央市)の村山公一氏が同院の成功事例をもとに、医療従事者の働き方改革を伴う医療DXの進め方について解説します。

DXの進め方

よく「DXはどのように始めたらよいのですか」とご質問いただくのですが、筆者が心がけているポイントは大きく3つあります。それは「小さく始める」「その場にいて、すぐに対応する」「同じように働いてみる」です。

 

1.小さく始める

まずDX推進を優先的に行う対象ですが、「忙しい部署」から「小さく」始めるのがいいというのが筆者の結論です。いまでこそ、当院の職員は1人1台のiPhoneを持っていますが、一気に導入したわけではありません。最初から全体に展開しないほうが、職員それぞれに充実したサポートができるメリットが大きいと考えています。

 

ちなみに当院でなにかDXツールを導入するときも、筆者が1人ずつ病棟で立ち話のようなかたちで操作説明をしています。そのほうが1人ひとりの理解度に合わせた説明ができ、かつ対話をすることで、

 

・iPhoneのどこが使いやすかったか

・どこを直したらもっと使いやすくなるのか

・どんな働き方をしたいか

 

などを聞くことができます。

 

このような活動を繰り返しているうちに、「こうしたら確認がとりやすかったよ」「このほうが入力しやすいよ」といった感じの学び合い・教え合いが自然発生していきます。

 

また、いままで使っていたPHSや紙カルテなどを否定しないのも大切です。新しい仕組みを入れるときは「こういったものもありますよ」と説明していきます。強制されることなく自分から「使ってみようかな」と思ってほしいからです。あくまでも「既存のやり方を残しつつ自然と便利な方向にいく」ように手助けしています。

 

2.DX推進担当がその場にいて、すぐに対応する

新しい病棟にツールを導入するときは「村山さん(筆者)はなるべく病棟にいる」という状態を作るようにしています。ユーザーのちょっとした疑問が出てきたときなどに、電話やメールで呼び出すのはハードルが高く、タイムラグができてしまいます。そのため、病棟に詰めるようにして、筆者がユーザーの視界内にいるようにするのです。

 

それから、「もうちょっとこうなったらいいのに」といったひらめきがあっても、「これを明日のミーティングで部署内に周知しましょう」「OKであれば企画書にまとめましょう」では、その思いも冷めてしまうかもしれません。やはり、ひらめいたものはすぐに対応するのが一番望ましいあり方です。

 

そのため、「アイディアありがとうございます! 相談伺います!」といったふうにチャットなどで即時に返信し、その後の院内調整などは筆者のほうでやらせてもらっています。

 

いままで病棟の中で見聞きしてきたことを振り返ると、きっと「もっとこうしたい」という思いを持った時点で、そのスタッフは大きな変革を起こそうとしているのではないかと思います。よりよい未来が具体的にイメージできているはずなので、そんな未来の実現を手伝うことがDXの楽しさであり筆者の喜びでもあります。

 

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