「母さん、オレオレ」「アカウントが凍結されました」日常にあふれる〈詐欺トラップ〉…回避に必要な4つの心がけ

「母さん、オレオレ」「アカウントが凍結されました」日常にあふれる〈詐欺トラップ〉…回避に必要な4つの心がけ
(※写真はイメージです/PIXTA)

固定電話経由のオレオレ詐欺から、宅配便の不在通知やパソコンのウイルス感染警告を装った詐欺まで、世間にはさまざまな工夫を凝らした詐欺行為が横行し、被害額も右肩上がりです。泣きを見ないためには、どうしたらいいのでしょうか。ヒントは、まず相手を知ること、そして自分を知ることにありそうです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

詐欺に遭うのは高齢者だけとは限らない

詐欺の被害というと、高齢者を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。たしかに高齢者は、平均すれば結構なお金を持っていますし、判断力が鈍っている人も多いでしょうから、格好のターゲットであることは間違いありませんが、詐欺師のターゲットはほかにもいるので、要注意です。

 

若者はそれほどお金を持っていないでしょうが、警戒心が弱い人が多いので、詐欺師から見たら、簡単に儲かるようなのです。たしかに、自分や周囲に詐欺の被害に遭った人がいなければ、警戒心を持ちにくいのでしょうね。ちなみに、人類の進化の過程で若者は警戒心を持ちすぎないように変化してきた、という説もあるようです。

 

エリートサラリーマンなども「自分は大丈夫だ」という自信とプライドが、かえって詐欺の被害につながるかもしれません。「さすがにお目が高い!」「すでにご理解いただいておりますように…」などといわれると、確認したい事項を確認するのが憚られ、詐欺師の術中にはまりかねない、というわけですね。

詐欺を見抜くポイント①自分のなかの「得したい欲望」に気づく

「この投資商品を買えば、必ず儲かります」という人がいますが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですから、そんなはずはありません。

 

万が一、そんな商品があったとしても、読者の目に留まることはないでしょう。世の中には時間も金も知恵もあって有利な投資機会を探し歩いている投資家たちが大勢いますから、そうした人が先に買ってしまうからです。

 

冷静に考えれば「詐欺かもしれない」と気づくのでしょうが、欲に目が眩んでガツガツしていると、気づかないかもしれません。投資は即断即決せず、少なくとも1度は深呼吸してからにしましょう(笑)。

詐欺を見抜くポイント②相手の立場に立って考えてみる

筆者は「相手の立場に立って考えろ」という言葉が好きです。道徳の先生がイジメっ子にいう場合も重要ですが、将棋や囲碁の世界で「自分の好きな手ではなく、相手がいちばん嫌がりそうな手を打て」という場合も重要です。

 

「自分が必ず儲かる投資商品を持っていたら、見知らぬ人に売ってあげるだろうか?」と考えてみるだけで、自分の目の前にいる人物は詐欺師だ、と気付ける可能性は高いはずです。

 

余談ですが、詐欺師でなくとも「無料でアドバイスしてあげます」という人には要注意です。「あなたにピッタリの金融商品を、タダでアドバイスしてあげます」といわれたときは「この人は生活の糧をどこから得ているのだろう?」と考えてみましょう。

 

もっとも容易に想像できるのは、読者が紹介された金融商品を購入したら、金融機関からアドバイスした人に謝礼が支払われる、ということでしょう。そうだとすれば、最も高い謝礼を払ってくれる金融機関を紹介される可能性が高いですね。要注意です。

詐欺を見抜くポイント③少しでも気になったら、面倒でも調べる

「アカウントが凍結されました」「荷物をお届けにあがりましたが、ご不在でした」といったメッセージが届き、「以下のURLからお手続き下さい」と記してあると、ついクリックしたくなりますね。

 

しかし、そのURLは詐欺師作成のニセ物で、暗証番号等を入力すると酷い目に遭うかもしれません。被害を防止するには、面倒だと思っても、本当にアカウントが凍結されたのか確かめてみる、運送会社に電話してみる…といったことが必要でしょう。

 

ちなみに、筆者の郵便受けに「新聞配達所です。年末年始に留守にするならご連絡下さい。玄関先に新聞が山積みだと留守がバレますので」というチラシ(表現はもっと上品でした)が入っていたことがあります。

 

内容はもっともなのですが、このチラシを作成して配ったのが窃盗団だったら「年末年始は留守にするから空き巣においで」と誘っているようなものですね(笑)。

 

そこで、ホームページで新聞配達所の電話番号を調べて電話しました。そのときはチラシに書いてある番号と同じだったので、結果的には無駄な努力でしたが、そうした慎重さが身を守るのだと思います。

詐欺を見抜くポイント④「孤独感」が被害の引き金になると知る

孤独な高齢者が詐欺の被害に遭うことが多いようです。もし雑談の相手がいれば「こんな儲け話がある。儲かったらご馳走するね」などという会話から、相手が詐欺を疑ってくれるかもしれません。当事者より雑談相手のほうが冷静に物事を見られるからです。

 

寂しい高齢者に親切にして信頼を勝ち得てから、財産の話を切り出す詐欺師もいるようです。「電話もしてこない息子より、君の方がずっと頼りになるよ」などといわれたら、詐欺師は嬉しいでしょうね。

 

読者の老親が田舎でひとり暮らしをしているなら、そうならないように、毎日電話をしましょう。詐欺とは関係なくても、その程度の親孝行はしたほうがいいと思いますが。

対策➀固定電話は「留守電設定をデフォルト」にする

詐欺師は固定電話を使ってコンタクトして来ることも多いようです。高齢者に近づくためには、インターネットや携帯電話より固定電話が便利だ、ということなのでしょう。

 

だからといって、詐欺被害を防ぐために固定電話回線を解約するのはお勧めできません。家族や友人との連絡がとれなくなってしまったら困ります。

 

そこで、留守番電話を常にオンにしておき、在宅していても電話に出ない、という選択肢が考えられます。留守電に録音されるとわかったら、詐欺師は電話を切るでしょうが、家族や友人はメッセージを残すでしょう。

 

「ただいま留守にしております」などというと空き巣が来る、という心配はありますが、玄関のベルが鳴ったときに応答すれば空き巣は諦めるでしょうから、心配は無用だと思います。

対策②なにかあったら188番(イヤヤ)と覚えておこう

泥棒は110番、火事や救急車は119番、というのは誰でも知っていると思いますが、もうひとつ「188番」も覚えておきましょう。消費者ホットラインにつながりますので、消費関連の幅広いトラブルに対応してくれます。

 

詐欺との関係でいえば、「こんな儲け話を聞いたのですが、大丈夫でしょうか」と相談してみればよいでしょう。「似たような詐欺が流行っていますから、気をつけて下さい」などと教えてくれるかもしれません。

 

詐欺の被害に遭ったときも188番でしょうが、できれば被害に遭う前に電話したいものですね。

 

本稿は以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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