米政府閉鎖“土壇場回避”で荒れる株式相場だが…秋以降「株価回復」が期待できる理由【マクロストラテジストが解説】

米政府閉鎖“土壇場回避”で荒れる株式相場だが…秋以降「株価回復」が期待できる理由【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

上院と下院で予算案が対立し、政府閉鎖の懸念があった米国。先月30日につなぎ予算が可決され土壇場で回避されたものの、株価は下落しています。しかし、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は「秋以降、株価の回復が見込める」といいます。その理由を詳しくみていきましょう。

政府閉鎖は“土壇場で回避”も、不安定な要素が残る

米連邦議会の上下両院は9月30日の夜に、連邦政府のつなぎ予算を可決、バイデン大統領がこれに署名し、連邦政府の閉鎖は土壇場で回避されました。

 

ただし、

 

1.本年11月17日までの暫定予算である

2.ウクライナ支援が除外されている

3.下院共和党の強硬派が、マッカーシー下院議長(共和党)の解任動議を提出(→10月3日に可決)

 

するなど、今後の動向をめぐり、不安定な要素は残ります。政府閉鎖は回避されたものの、翌10月2日の取引では、金利上昇を嫌気するかたちで株価は下落しました。

 

最近の金利上昇は「政府閉鎖への懸念⇒連邦政府や議会への信頼喪失を反映している」ともいわれていましたが、「政府閉鎖が回避されれば、景況感を押し下げるものがひとつ減る」ために、景気拡大見通しが以前に比べて強まり、それも金利上昇の要因となります。

 

引き続き、幅広い資産への分散投資が求められます。

いまはまだ「逆金融相場」だが…

[図表1]に示すとおり、今年8月以降、米国の中長期ゾーンの金利が上昇し、それに合わせるように株価は調整を続けてきました。「金利上昇、株価下落」の『逆金融相場』がつづいています。まだ、しばらくはそうしたモードが続くのかもしれません。
 

[図表1]S&P500と米国10年国債利回り
[図表1]S&P500と米国10年国債利回り

 

とはいえ、①「金利上昇の背景は、米国景気の堅調さ」ですし、②「金融市場は流行の歌やドラマのようなもの」ですからいつまでも同じテーマで取引されることはありません。

 

たとえば、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを「打ち止め」にすれば、変化が生じ、

 

A.「金利横ばい~低下、株価上昇」の『金融相場』か、

B.「金利上昇、株価上昇」の『業績相場』

 

に向かう可能性も十分に考えられます。

 

今年も“例年どおり”なら、秋以降は株価の回復に期待

【図表2の青線】に示すとおり、米国株式市場の予想変動性(ボラティリティ)を示す「VIX指数」は、秋にかけて上昇する場合が少なくありません。他方で(今回はそれが政府閉鎖の回避なのか)秋以降は低下する傾向にあるようです。

 

[図表2]S&P500の予想変動性(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)
[図表2]S&P500の予想変動性(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)

 

また、【上】に示したVIX指数と変わり映えしませんが、【図表3の青線】に示すとおり、米国の株価も夏から秋にかけて調整をし、秋以降は堅調に推移する傾向にあるようです。仮に、今年も例年どおりに動くならば、この先は、株価の回復が期待されるところです。

 

[図表3]S&P500(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)
[図表3]S&P500(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)

 

別途、気になる方もいらっしゃると思いますので、参考までに、米国10年国債利回りだと、[図表4]のようになります。

 

[図表4]米国10年金利の動き(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)
[図表4]米国10年金利の動き(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)

 

ドル円相場だと、[図表5]のとおりです。

 

[図表5]ドル円(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)
[図表5]ドル円(2023年:左軸、1990~2022年の平均値:右軸)

 

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