経営層へのステップアップにあこがれはあるものの、具体的にその道筋をイメージできない若いビジネスパーソンは多いはずです。東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏は、そうした人はまず「年収の3倍のパフォーマンス」を挙げることを意識すべきだと語ります。本稿では、人事の世界でよく聞く「年収の3倍」という言説について、詳しく解説します。
「年収500万円・会社員」の本当の人件費…〈年収の2倍〉の仕事をしても、“ハイパフォーマー”とは呼べないワケ【転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「年収の3倍の仕事」を積み重ねる

労働分配率が60%に達している会社は珍しいようですが、ここでは参考までに60%という数字を挙げました。上の計算式をみると、年収500万円台の社員であっても、年収の約2倍、959万円の粗利益を得ることで、ようやく人件費をペイできることがわかります。

 

つまり、年収の3倍程度のパフォーマンスを挙げないことには、実は活躍していることにならないのです。おそらくこのあたりから、「年収の3倍」という言説が出てきたのだろうと思われます。そして当然のことですが、受け取る年収が高ければ高いほど、より高いパフォーマンスが求められるようになります。

 

社員が自身の力を高めていく上での第一関門は、役職に就いていないプレイヤーの頃から自分の給料にかかるコストの内訳を知り、数字で理解した上で、「最低3倍」の仕事をこなすことです。

 

筆者の経験では、「社長」になるような人物というのは収入の数十倍の利益貢献をしていることが珍しくありません。会社のトップを務めるということは、多くの従業員や家族の命と財産を預かることですから、働いた分と給料が釣り合っているかどうかという次元の問題ではなく、その人自身が「給料の数十倍、数百倍の利益貢献をして全社員を支える」という気概がなければ務まらないのです。

 

それだけの大きな仕事を成し遂げるには、スキルやノウハウだけではなく、人としての大きな器が必要です。

 

若いビジネスパーソンの場合、「全社員を支える」と考えるのはもう少し先になってからでもよいでしょうが、最低でも「年収の3倍」のパフォーマンスを維持しておくことが、上司や同僚など、あなたの社内における客観的評価を高めるポイントになります。

 

その上で余裕があれば、さまざまなプロジェクトを買って出て、多くの利益を会社にもたらすことを考えましょう。そうした積み重ねは、必ずやキャリアの発展に貢献し、ビジネスパーソンが大きく飛躍するきっかけになるはずです。