本連載は、銀行の元支店長で現在は実業家として活躍する菅井敏之氏の著書『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』(アスコム)の中から一部を抜粋し、幸せなお金持ちになる鍵を握る「金の卵を産むニワトリ」とはどのようなものかを説明します。

懸命に働き、お金を稼ぐことが大事だと思っていたが…

お金の不安から自由になれるか、なれないかを分けるのは、その人がお金を持っているか、いないかではなく、「新しいお金を運んでくれる仕組み」を持っているか、いないかです。元気や幸せのおおもとは、そのニワトリが金の卵を産み続けてくれることにあるのです

 

そこで本連載では、持つべき「金の卵を産むニワトリ」とはどういうものかをお話しします。

 

まずは、筆者が銀行で支店長をしていたときのエピソードから聞いてください。私は1960(昭和35)年生まれですが、若いころ「3高」という言葉がありました。3高とは「高学歴・高身長・高収入」です。いまの若い人には、まるでピンとこないでしょうが、この3つの条件を備えた男はモテる、という話だったのです。

 

私は、この話を固く信じ、よい大学を出て、よい会社に入り、だんだん昇進して定年まで勤め上げるのが一番だと思っていました。そして35歳くらいまでは、その考えを疑うことがありませんでした。

 

ところが、銀行に入り、20年働いて支店長になっても、周りの景色は何も変わりません。昇進しても、一段高いステージに上った感慨もなく、「ああ、こんなものか」と思っただけでした。

 

『半沢直樹』というテレビドラマがあったでしょう。誇張されていましたが、銀行というところは、まさにあんな感じ。みんなノルマに追われ、いつもピリピリしています。がつがつ働き、やっと半期が終わって数字を達成できたと思ったら、また次の目標が目の前にある。これ、いつ終わるんだろう、と思ったものです。

 

自分は本当に幸せなのだろうか。そんな疑問が、私の中で少しずつ膨らんでいました。

うらやましく思ったお金持ちと、自分との違い

そんなとき、あるお金持ちの家を訪ねました。いまも鮮明に覚えています。78歳の女性のお宅に、担当者と投資信託についてお話しに行った日のことです。その女性は貸しビルの家賃収入が月200万円以上あって、普通預金口座には、いつも3000万円くらい入っていました。

 

彼女は「いやあ、きのう歌舞伎座で見た染五郎のきれいだったこと」とか、「来週から娘とグアムに行くのよ」とか、実に楽しそうに話します。

 

何十分かそんな話が続き、どうやって本題を切り出そうかと、考えはじめたときです。こちらの顔色を察した彼女は、「わかってるわよ、支店長。お任せしますから、はいこれ」と、ニコニコしながらハンコをよこしました。

 

「いやいや、ちょっと説明させてください」と、ひとしきり話してご契約いただいた私は、帰りの電車の中で考え込まざるをえませんでした。

 

なんだろう? あの余裕は。自分とはまったく違う、実に明るく楽しそうな人生じゃないか。自分の生き方は、正しかったのか? どこかで間違ったんじゃないだろうか?

 

支店長室に戻った私は、お付き合いのあるお客さんの中から、優雅で楽しそうな生き方をしていて、自分がうらやましいと思える10人をリストアップしました。そのリストを見て、自分と何が違うのか、考えようと思ったのです。

金の卵を産むニワトリを持ちなさい

金の卵を産むニワトリを持ちなさい

菅井 敏之

アスコム

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