経営拡大をせず、アパートを購入したことが幸いした
前回に引き続き、「収入付き不動産」で安泰な生活を送っている人々の事例を紹介します。
3人目は、筆者と同じ、東北出身の男性です。会ったときは75歳くらいでした。この人は集団就職で上京し、横浜のラーメン屋に住み込みで働きはじめました。やがて店を1軒任されることになり、ラーメンとジュースのセット販売を開始したところ、客が長蛇の列をなしたといいます。
店が大繁盛し、お金もたまると、ラーメン屋の主人や周囲の人たちは「店をもう1軒持て」と強く勧めました。ところがこの人は「俺にそんな経営能力はない」と言って、貯金と銀行から借りたお金でアパートを持ったのです。
これが大正解でした。ラーメン屋を拡大せず、本業とは別にアパートを持ったことが、人生を変えたのです。彼は、やがてアパートを3棟に増やし、ラーメン屋は引退しました。私と会ったころは時間があり余っており、毎日と言っていいほど銀行に顔を出して世間話をしていました。
たぶんラーメン屋を2軒にしたほうが、その後数年間の収入は多かったでしょう。しかし、20年、30年後の安定した収入は得られなかったと思います。
本業で持ち逃げされても、アパート経営が救いに
4人目は、元麻雀荘オーナーの女性です。麻雀荘を経営していた彼女は、あるとき、信じていた従業員に有り金すべてを持ち逃げされてしまいました。その窮地を救ってくれたのがアパートです。麻雀荘が順調なとき、アパートを1棟買い、ずっと持っていたことが幸いしました。
やがて、アパート3棟を手に入れた彼女は、麻雀荘をやめました。フランスが大好きで、日本とパリを行ったり来たりしており、1年の半分はパリで暮らしています。
いまの時代、たとえ大企業勤めのサラリーマンでも、ずっと安泰であるとは言いきれません。会社が倒産したり、リストラされたりする可能性があるからです。そこまでいかなくても、経営不振で給料やボーナスが激減し、生活設計が狂ってしまう人はたくさんいるでしょう。
本業の収入だけに頼る「一本道の生き方」をしている限り、そうしたリスクを100%避けることはできませんが、本業と別に「金の卵を産むニワトリ」を持てば、状況は大きく変わるのです。