米ドル/円「今年最安値」を記録…円安はどこまで続くのか【国際金融アナリストが解説】

8月15日~21日の「FX投資戦略ポイント」

米ドル/円「今年最安値」を記録…円安はどこまで続くのか【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、ほぼ一本調子に円安が進行。8月14日には年初来安値(米ドルは高値)をつけました。円安相場は今後も続くのか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

8月15日~21日「FX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

・先週の米ドル/円はほぼ一本調子で上昇し、一気に年初来の米ドル高値に肉迫する動きとなった。

・ただ米ドル高・円安は日米金利差などからのかい離も目立った。

・今週は米景気動向と円安阻止加入再開などをにらみ、142~147円中心に上下に荒い値動きになる可能性がありそう。

先週の振り返り…目立った一方的な「円売り」

先週の米ドル/円はほぼ一本調子で上昇し、一気に6月末に記録した年初来の米ドル高値、145.1円に肉迫する展開となりました(図表1参照)。ただ、こんなふうに米ドル/円が一方向に大きく動いたなかで、ユーロ/米ドルなどは方向感のない小動きに終始しました(図表2参照)。その意味では、米ドル買いというより円売りの一方的な拡大が目立つ1週間だったと言えそうです。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年5月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表2]ユーロ/米ドルの日足チャート(2023年5月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

一気に145円まで米ドル高・円安となった先週の動きは、日米金利差からもややかい離したものでした(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円と日米10年債利回り差(2023年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

11日こそ日米10年債利回り差米ドル優位は比較的大きく拡大しましたが、これは米10年債利回りが上昇したのに対し、日本は祝日で債券市場が休場だった影響が大きいでしょう。

 

これらもあわせて考えると、144円以上の米ドル高・円安は日米金利差からもかい離した動きとなっています。

 

金利差からかい離する形で、先週円安が一方的に拡大したことは、「投機筋の円売り拡大」である程度説明できるでしょう。ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、先週にかけて2週連続で売り越しが拡大しました(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

投機筋の円売り越しは一時11万枚以上に拡大、「売られ過ぎ」が懸念されるところとなりましたが、その後6万枚まで縮小し、「売られ過ぎ」の修正が進みました。

 

こういったなかで、7月末の日銀金融政策決定会合の後から、改めて米ドル買い・円売り再開に動き、それが先週はとくに金利差で説明できる以上の円安をもたらした可能性があるでしょう。

 

次ページ今週の注目点…円安はどこまで進む?

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