66歳・経営者「あの時知っていれば老後資金を3,000万円も残せた」…“後悔してもしきれない”〈痛恨の選択〉【税理士が解説】

66歳・経営者「あの時知っていれば老後資金を3,000万円も残せた」…“後悔してもしきれない”〈痛恨の選択〉【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

地方の印刷業、新田印刷(仮名)の2代目社長は経営難に直面し、苦渋の選択を迫られました。貯えもない中、苦しい老後を覚悟の上で退職金なしでの廃業を決断。しかしその後、その決断を酷く後悔する「思わぬ展開」が待ち受けていたのです。本稿は、税理士の都鍾洵(みやこ しょうじゅん)氏が事例をもとに解説します。

2代目社長、退職金なし・貯えなし覚悟で出した苦渋の決断

新田印刷(仮名)は地方の印刷会社でした。新聞の折り込みチラシや、名刺、ポスター印刷などを地元企業から受注し、自社工場で印刷していました。2代目の新田社長(66歳・仮名)は精力的に営業活動をし、ホームページ製作にも進出するなど売上拡大を目指し、年商は6,000万円を突破しました。


しかし、そもそも人口が減少している地方であり、新聞を取る家庭も年々減少し、ポスター印刷の需要も減少を続けていました。給与や外注費、水道光熱費などの固定費(販売費及び一般管理費)を支払うと利益はほぼ出ず、何とかギリギリ生活できる、というレベルでした。


子どもは長男と長女に恵まれましたが、長男は都会の大手企業に就職して順調に出世しており、長女も公務員と結婚し安定した生活を送っていて、後継ぎもいません。


幸い先代が残してくれた工場の土地建物を売却すれば、金融機関からの借入はゼロになることがわかったため、「取引先や金融機関に迷惑を掛けないうちに辞めてしまおう」と廃業を決意しました。


得意先には廃業の連絡をして、今後の仕事については同業者に引き継いでもらいました。昭和40年代に先代が揃えた印刷機械の処分代くらいはかかるものと思っていましたが、地域の同業者が無料で引き取ってくれました。従業員2名には事情を説明して辞めてもらいました。少額の退職金しか支払えなかったことが心残りでした。


しかし、無理もありません。新田社長は自身の退職金は無く、貯えもほとんど無かったため、年金暮らしで余生を送ることになっていたためです。


「巷では借金を踏み倒して、金融機関に迷惑を掛けて倒産する会社もある。新田印刷は誰にも迷惑を掛けずに廃業するんだ。これ以上何を望むのか」と粛々と廃業手続きを進めていました。

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