(※写真はイメージです/PIXTA)

投資用物件の購入で失敗しないためには、「収支計画」「マーケット調査」「物件個別調査」がカギです。本稿では、マーケット調査の前提として、「物件価格の妥当性」を確認する方法を見ていきましょう。

「物件価格の妥当性」は買い手自身がチェック

マーケット調査は、検討している物件のあるエリアにおいて、その物件がどのようなポジションにあるのかを確認するために欠かせません。

 

まず前提になるのが物件価格です。不動産市場で売り出されている物件の価格は基本的に売主の希望価格です。その価格が妥当かどうかは、買い手自身がチェックしなければなりません。

物件価格の考え方①収益価格

■「満室を想定した賃料収入」で計算するのは危険

不動産投資において、物件価格については大きく分けて2つの考え方があります。ひとつは収益価格、もう一つは積算価格です。

 

収益価格とは、物件の賃料収入を元にどれくらいの利回りが見込めるかという観点から考えるものです(図表1)。

 

[図表1]収益価格の考え方

 

不動産投資においては購入した物件を貸し出して賃料収入を得ることを目的としていますから、投資家としては収益価格をベースに価格を判断するのが妥当です。

 

ただし、収益価格を計算するに当たって、満室想定の賃料収入ではなく、各種経費や空室率をベースにしたNOIのほうがより安全です。

 

■「物件広告の利回り」を鵜呑みにしてはいけない

また、どれくらいの利回りが見込めるかという点については、その物件があるエリアの競合物件を参考にします。物件広告では7%と表示されていても、周辺の物件をいくつか調べてみると6%がいいところ、といったこともあります。

 

さらにいえば、そもそも不動産は個別性が高く、売主の事情によって売出価格にも幅があります。例えば収益価格より売出価格が低いからといってお買い得だと考えるのは危険です。何か隠れた問題があるのかもしれません。逆に、収益価格より売出価格が高くても、交渉が可能なこともあります。

 

収益価格もあくまで判断材料の一つに過ぎないのです。

物件価格の考え方②積算価格

■従来、銀行融資でチェックされた「積算価格」だが…

もう一つの積算価格とは、今土地を購入し新しく建物を建てるとしたら、それぞれいくらかかるか計算し、建物については築年数に応じて減価する分を差し引いて求めるものです(図表2)。

 

[図表2]積算価格の考え方

 

具体的に、土地については過去の似たような取引事例を調べて参考にすることや、あるいは国などが毎年公表している公示地価(国土交通省)、基準地価(都道府県)、相続税路線価(国税庁)を参考にすることもあります。建物については、国などが公表している建物の構造別・地域別の単価(m2あたり)などを用います。

 

■最近のローン審査では「収益価格」が重視される傾向

積算価格は通常、収益をベースにして計算する収益価格よりも低くなることが多いです。

 

以前は、金融機関の多くはローンの審査に当たって積算価格を重視する傾向がありました。万が一借り手が返済できなくなった場合に担保にとった物件がいくらで処分できるかに注目し、堅めに評価するからです。しかし最近は積算価格ではなく収益価格で判断するところもあるのが実情です。

 

 

會田 和宏

株式会社あおば不動産販売 代表取締役

 

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※本連載は、會田和宏氏の著書『勝てる!不動産投資~投資初心者のための物件購入の基礎知識~』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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