(※写真はイメージです/PIXTA)

「国境なき医師団」や「国連UNHCR協会」に代表される、NPO法人。なんとなく聞いたことはあるけれど、実態や設立方法については知らないという人も少なくないでしょう。そこで今回、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が、NPO法人の運営のしくみと「一般社団法人」との違い、設立時のメリット・デメリットを解説します。

「NPO法人」とは

そもそも「NPO法人」とは、“Nonprofit Organization”を略したものです。直訳すると「非営利団体」、「非営利組織」という意味です。

 

「非営利ということは、お金儲けをしてはいけないのか」と勘違いする人もいますが、これは大きな間違いです。「お金儲けはしていいものの、利益分配をしてはいけない」というのが正しい意味になります。

 

利益分配しないというのはどういうことなのでしょうか。これは、株式会社と比較するとわかりやすいです。

 

NPOで事業収入や寄付などの収入と支出(オフィス代や人件費)を差し引いて利益が出た場合、株式会社であればこの利益を株主に分配していくわけですが、NPO法人の場合は団体の寄付者などにこの利益を分配するようなことはしてはいけないとされています。

 

NPO法人の場合、余った「利益(正確にはNPOの場合「余剰金」)」は事業に使用することになります。

 

「非営利」というのは、「利益をみんなで山分けするために活動してはいけない」というのが正しい認識になります。したがって、従業員に給料を支払ったり、必要な事業収益を得るのはまったく悪いことではありません

「NPO法人」と「一般社団法人」の違い

それから、非営利法人といえば「一般社団法人」も非営利法人のひとつです。よく似たものですが、NPO法人となにが違うのでしょうか。

 

一般社団法人もNPO法人も、「非営利法人」であることは同じです。ですから、一般社団法人も余剰金の分配を行いません。

 

また、NPO法人はこの一般社団法人と同様、会員を主体した団体です。さらに、一般財団法人と同じく、「寄附金の受け入れ」を行って活動します。このように、NPO法人は「社団法人」・「財団法人」両方の性質を一部持っているといえます。

 

NPO法人が一般社団法人と決定的に異なる点は、大きく分けて以下の3つです。

 

1.NPO法人は登記前に所轄庁の認証を受ける必要がある
2.NPO法人は一般的な法人が必要とする公証役場での定款認証を必要としない
3.NPO法人は設立後の管理も所轄庁が行う

 

上記のような違いがあるために、NPO法人のほうが管理コストが高くつくものの、代わりに設立時のイニシャルコストが安いというメリットがあります。

 

[図表1]一般社団法人とNPO法人の違い①
[図表1]一般社団法人とNPO法人の違い①

 

特筆すべき点としては「事業内容」です。一般社団法人については特段制約がない一方、NPO法人の場合は定められた20の「特定非営利事業」のなかでしか活動を行うことができません。

 

[図表2]一般社団法人とNPO法人の違い②
[図表2]一般社団法人とNPO法人の違い②

 

ほかにも、NPO法人には「報告義務」というものがあります。会計などの情報を所轄庁に報告する必要があります。この決算内容は情報公開されるというところも一般の法人とは大きな違いがあります。

 

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