(※写真はイメージです/PIXTA)

「国境なき医師団」や「国連UNHCR協会」に代表される、NPO法人。なんとなく聞いたことはあるけれど、実態や設立方法については知らないという人も少なくないでしょう。そこで今回、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が、NPO法人の運営のしくみと「一般社団法人」との違い、設立時のメリット・デメリットを解説します。

NPO法人設立の「メリット」

1.費用面での優遇

NPO法人設立のメリットとして、まず「費用面での優遇」が挙げられます。

 

営利法人と比較すると、NPO法人は「設立費用」と「税金」という2つの費用面で優遇されます。また資本金0円で設立することができるため、登録免許税をはじめとする設立時にかかる諸費用も発生しません。

 

2.活動を継続しやすい

また、「活動を継続しやすい」という点もNPO法人の魅力です。単なるボランティア団体として活動するよりも、NPO法人という法人格を取得して活動するほうが継続しやすいでしょう。

 

法人化することによって人材の雇用も可能となるほか、NPO法人のみが対象の補助金なども豊富に存在します。そのため、一般社団法人と比較し補助金面での優位性をとってNPO法人を選ばれる方も多いです。

 

3.社会的信用度が高い

先述のように、NPO法人は設立前に所轄庁の認証を受けなければいけません。また、都道府県に提出した書類は縦覧期間が設けられ、市民にも閲覧されることになります。

 

このように、個人事業主や株式会社に比べ設立基準が高く、厳しい基準をクリアする必要があるため、NPO法人は社会的信用度が高いといえます。

 

上記のようなメリットがある一方、NPO法人設立には当然デメリットもあります。

NPO法人設立の「デメリット」

1.常に厳しい目で見られる

まず挙げられるのは、やはり「常に厳しい目で見られる」ということです。事業報告書をはじめとした書類を所轄庁に毎年提出することが義務づけられており、提出された書類は誰でも閲覧可能の状態に置かれます。提出しなければ認証の取り消しを受けることもありえるのです。

 

2.税務申告をしなければならない

また、法人ですので税務申告をする必要があり、そのためのコストであったり手間が発生します。

 

3.設立に労力と時間を要する

そして、「設立に労力と時間を要する」というのがNPO法人の最大のデメリットだといえます。

 

所轄庁の厳しい認証をクリアする必要があることを述べましたが、これは株式会社と比較してかなり労力と時間を要し、NPO法人は設立までに2~3ヵ月ほどかかるといわれています。

 

また、役員の員数は最低10名いなければならないため、「メンバーの確保」というところでもやはり高いハードルがあります。

 

「なにを重視するか」で最適な法人形態は異なる

社会的信用の確保や公益活動をメインで行う場合は、NPO法人限定の補助金なども豊富にあるためNPO法人がおすすめです。

 

ただし、メンバーの確保などハードルが高いところもありますので、補助金などを特に重視しないということであれば、一般社団法人を選択するのもいいでしょう。

 

このように、非営利法人を設立するにあたっては、なにを重要視するかによって形態を検討していくといいでしょう。


<<<【司法書士が解説】NPO法人のメリット・デメリット>>>

 

 

加陽 麻里布

永田町司法書士事務所

代表司法書士

 

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