親が老人ホームに・・・「小規模宅地等の特例」適用の具体例

前回は、「親が老人ホームに入った場合」に、小規模宅地等の特例が適用されないケースについて解説しました。今回は、二世帯住宅で、親が老人ホームに入居した場合、具体的に「相続税」はどうなるのかについて見ていきます。

母親が老人ホームに入所後、空き部屋を子供部屋に…

最後に、二世帯住宅で親が老人ホームに入居した場合の相続税が、具体的にどのような形となるのか、事例をもとに確認しておきましょう。

 

(ケース)
Aさんは二世帯住宅に親世帯と同居していましたが、父親は数年前に亡くなり、母親も今年から老人ホームに入所しました。不動産はすべて母名義です。母親が住んでいたのは1階部分、Aさんが住んでいたのは2階部分です。1階部分が両親ともにいなくなった場合には賃貸に供せるような構造にしてあります。

 

Aさんは1階部分を賃貸に供しようとも考えましたが、母親が老人ホームから帰ってくることも考えられるため、今回は賃貸に供せず、Aさんの子ども部屋として使用することにしようとしています。

 

土地  1000万円
建物  2000万円
現預金 1000万円
合計  4000万円

「賃貸に供したような場合」に特例は使えない!?

このケースでは、先に触れたB「被相続人またはその被相続人と生計を一にしていた親族以外の者の居住の用」に該当するようにも思われますが、もともと同居していた場合には小規模宅地等の特例は使えます。

 

ただし、1階部分を賃貸に供したような場合には、A「事業(貸付けを含む)の用」に該当するため小規模宅地等の特例は使えないこととなります。

 

特例が使えた場合の課税資産額と相続税の額は[図表1]にあげたような形になります。一方、特例が使えない場合には、[図表2]にあげたような形になります。

 

相続税の額は特例が使えた場合には40万円、使えない場合には338万1000円となるので、その差は何と298万1000円にもなるわけです。

 

[図表1] 1階を子ども部屋として使用した場合

 

[図表2] 1階を賃貸に供した場合

本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『親子で進める二世帯住宅節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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税理士法人 斎藤会計事務所  所長

税理士。
税理士法人斎藤会計事務所所長。1998年の事務所開業直後から会社設立支援に力を入れ、創業・融資・事業拡大と100社を超える経営計画のサポートを行う。近年は高齢の親を持つ子世代を対象にしたWebサイト「オヤノコト.net」で自らの体験を生かした相続人向けの相続について連載。著書に『独立を考えた時に読む本2002』『独立を考えた時に読む本2002―Ⅱ』(日経BP社)記事執筆、『相続の現場55例』(ダイヤモンド社)など。相続税対策セミナーも多数開催。

著者紹介

親子で進める二世帯住宅節税

親子で進める二世帯住宅節税

斎藤 英一

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税改正により、課税される相続財産の最低額が大幅に引き下げられたことで、課税対象者が倍増するという試算があります。相続税は原則現金で支払わなければならないため、最悪の場合には家を売らなければならなくなるかもし…

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