(写真はイメージです/PIXTA)

辞めさせたい社員に退職勧奨をする場合、伝え方には特に注意しなければなりません。対応を誤れば、違法な「退職強要」であるとして損害賠償請求されるリスクがあるためです。今回は、実際に違法と判断され、会社側が損害賠償を払うこととなった3つの判例をもとに、スムーズな「退職勧奨」の方法と注意すべきポイントについて、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

「退職勧奨」とは

退職勧奨とは、会社を退職してほしいと考えている従業員に対して、退職をしてもらうよう促すことです。

 

遅刻が多いことや他の従業員と頻繁にトラブルを起こすなど問題のある従業員に対して行う場合のほか、会社の人員削減を目的として業績の芳しくない従業員に対して行う場合もあるでしょう。

 

“解雇”との違い…退職勧奨は従業員側に「選択の自由」

退職勧奨と解雇との最大の違いは、従業員側に退職勧奨に応じるか否かの選択の自由があるかという点です。

 

退職勧奨は、あくまでも「退職を推奨する」という会社側の意思を伝えるのみであり、これに応じるかどうかは従業員次第です。そのため、従業員としては退職勧奨に応じず、そのまま会社へ残留する選択をとることもできます。

 

一方、解雇は従業員との労働契約を一方的に解約する行為であり、原則として従業員側の意思は関係ありません。

 

そのため、解雇に客観的に合理的な理由がなく、かつ社会通念上相当であるといえない場合には、従業員側から解雇の無効や損害賠償などを求めて労働審判や訴訟を提起されるリスクがあります。

 

退職勧奨は原則「会社都合退職」

退職には、大きく分けて「会社都合退職」と「自己都合退職」の2つが存在します。

 

いずれに該当するかによって、退職後の失業期間中に従業員が受け取れる「失業保険給付」の内容が異なっており、「会社都合退職」のほうが手厚い内容となっています。

 

また、会社が受けている助成金によっては、会社都合の退職者を出してしまうと受給要件を満たさなくなる場合があるため、会社側にとってもその退職が自己都合退職なのか会社都合退職なのかは気になるところでしょう。

 

自己都合退職とは、従業員が自主的に退職届を出して行う退職を指します。たとえば、親の介護など家庭の事情で遠方へ引っ越す場合や他社へ転職する場合などに退職届を出すものが、自己都合退職の典型例であるといえるでしょう。

 

一方、退職勧奨による退職は、原則として会社都合退職に該当します。

 

退職勧奨に合意したことをもって自己都合退職となるわけではありませんので、誤解のないよう注意が必要です。

 

次ページパワハラや“強要”の危険性…注意したい「言い方」

本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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