証拠書類も何もない――スリランカ国有銀のずさんな管理体制

写真:GTACスタッフ

当時の大統領府から届いた融資を促すかのような手紙。国有銀行ならではの政治との癒着には根深いものがありそうです。しかし、Lankaputhra銀行銀行のずさんな管理体制によって、その真相を追究することは困難になっています。

債務者と銀行の双方に見られる無責任な態度

巨額の不良債権を抱えるスリランカのLankaputhra銀行。その債務者たちは、信用力調査の条件をより緩くしてほしいと要求していたと見られる。そしてその要望を呑むかたちでLankaputhra銀行は信用力に欠ける組織に融資していたのだ。

 

「最近になって、とある企業に無担保で6500万Rsを貸していたことが判明しました。財務諸表は審査されたものの、内容把握まではされていなかったのでしょう」と銀行の会長であるLasantha Goonewardena氏は主張する。この事実はLankaputhra銀行の役員たちがCIDの金融犯罪特捜班に対し、政治介入があったと疑わしい14件の融資の詳細を提出した後に明らかになったと言う。

 

「当行は、昨年10月に大統領の秘書の要請のもと、この融資を承認しました。そのファイルのチェックリストには漏れが多くあります。資産評価は抜けていて、CRIB報告書もありませんでした」と彼は説明した。ほかにも、債務者から告げられた預金口座番号は解約された口座のものであり、1年分の財務諸表しか提出されなかったことも話してくれた。

 

「このような事例はまだ山のようにあるのかもしれませんが、それらを探すことは無駄骨に終わる作業でしょう。提出された証拠書類はそれほどにずさんなのです」とGoonewardena会長はため息をついた。そして、他にも疑わしい融資が潜んでいるはずだと彼は睨んでいる。2010年に役員を一掃した後に就任した新役員たちも怠惰で愚かな連中だからだ。

銀行トップは政治介入を否定

「私達は融資分の回収に着手し、出来る限りのことはやりました。抵当物件を競売にかけ、供託金を差し押さえ、手紙や催促状を送付し、法的措置を取りました。債務者の何社かは一回たりとも返済していないのです。融資分を回収するためだけではなく、貸付金が悪用されていないか、言い換えれば、流用・横領・政治目的での悪用がなかったかを捜査してもらうために、これらを国の金融犯罪捜査局(FCID)に提出しました」と会長は説明した。

 

しかし、頭取のLasantha Amarasekara氏は、Lankaputhra銀行は政治介入を受けていないと主張する。また、今年1月までの間に政治介入があったのか尋ねると「時々政治家と電話で話すことはありました。しかし、誰も私がそのことで融資したと言う人はいません」と答えた。

 

「今回のように物事がうまくいかない時、政治家を責めるのは簡単です。彼らから返済を要求されるかもしれませんが、私達の責任下でこれまでの債務を解消していかないといけないのです。不良債権は債務者あるいは適切な査定・追求・監視をしなかった私達の責任です。政治家を責めることは出来ません」

 

次回は、Lankaputhra銀行に対する周囲の評価、そして、本騒動のこれまでとは違う滑稽な一面をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年8月に掲載した「How to Rob a Bank」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカ国有銀行の甘いガバナンス

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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