前回は、「お客様のニーズ」という言葉に潜む、保険選びの落とし穴を紹介しました。今回は、良い保険に加入する必要な「明確な要望」とは何かを見ていきます。

万一のとき、残された家族がどんな生活を希望するか?

「良い保険」に加入するためには、その大前提として、お客様も「自分の要望」を明確にしておかなければなりません。そこがはっきりしていないと、どんなに優秀な凄腕営業担当者でも、「良い保険」は提案できないからです。

 

では、そもそも「自分の要望」とは何なのでしょうか。

 

ひと言で言えば、ご自身とご家族の未来の話です。ご自身が、そしてご家族がどのような生活を希望しているのかということです。将来に対する夢や願いと言い換えてもよいでしょう。連載第4回で触れたライフプランとデスプランは、この自分の要望を正確に把握することから始まります。

 

自分はどのように生きていきたいのか。皆さんは、改めて考えてみたことがあるでしょうか。漠然としたイメージはあっても、具体的に考えたことはないという人のほうが多いかもしれません。ましてや、ご夫婦で話をしたことがあるという人はどれぐらいいるのでしょうか。

 

でも、この話し合いをしないと、良い保険は絶対に作れません。なぜなら、互いの要望を知ることなしに願いを叶える保険など作りようがないからです。

「何を第一に考えるか」家族間で共有しておく

例えば、夫婦で一生懸命に貯金に励んだとしましょう。10年かけて1000万円の貯金ができました。奥様は「子どもの将来のために、やりたい習い事はすべてやらせてあげたいから、子どもの教育費のために使いたい」と思っていたとします。

 

ところが、ある日、ご主人がいきなり「子どもの頃からフェラーリのオーナーになるのが夢だった」と言って、せっかく貯めたお金を頭金にしてフェラーリを買ってきてしまいました。

 

さて、この夫婦はどうなるでしょうか。

 

このケースでは、奥様が子どもの教育費を第一に考えていたのに対して、ご主人は自分の夢を叶えることを最優先にしました。つまり、お互いの将来に対する考えがまったく異なっていたのです。

 

現実にこのようなことがあったら、即、夫婦げんか。下手をしたら、離婚のきっかけに発展してしまうかもしれません。

 

これは奥様の言い分が正しくて、ご主人が間違っているとか、そういうことではありません。そもそもの問題は、夫婦が互いに「何を第一に考えているか」を共有していなかったから起こった出来事です。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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