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連載プロが教える「競売不動産」の特徴と上手な入手法【第5回】

民事執行法の改正に伴う「競売不動産」入手法の歴史

競売物件

民事執行法の改正に伴う「競売不動産」入手法の歴史

今回は、民事執行法の改正とともに変化した競売不動産の歴史について見ていきます。※本連載は、株式会社ワイズ不動産投資顧問の代表取締役・山田純男氏、弁護士・竹本裕美氏の共著、『プロが教える競売不動産上手な入手法』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、不動産を格安で手に入れることができる、簡単・安心な競売のノウハウをご紹介していきます。

入札の裾野を広げた「民事執行法の改正

民事執行法が制定された後、1990年代にバブル経済が崩壊し、それに伴い競売物件が急増しました。開かれた制度になったはずの不動産競売でしたが、それでもなお、入札の裾野を広げるにはまだまだ改良の余地がありました。買受人がより安心して入札できる制度へ、そしてそれにより競売不動産の円滑な売却を進めるため、民事執行法は数度改正されてきました。

 

以下がその主な経過であります。民事執行法は短期にまさに進化の歴史を持った法律ですね。

 

●1996年

・使用借権者に対し、引渡命令発令へ

それまでは無償で住んでいる占有者には明渡訴訟を提起しなければなりませんでした。競売妨害に利用されることもありましたので、対処されました。

 

1998年

・執行抗告に制限設ける

抵当権の所有権移転登記との同時設定登記可能に(民事執行法82条2項の申出の記載参照)

 

・執行官調査権限拡充

それまでは、電気やガスの名義調査の権限を、執行官は持っていませんでした。この改正で、より確かな占有状況が現況調査報告書に記されるようになりました。

 

2003年

・短期賃借権廃止

 

・明渡猶予制度制定

相手方不特定での保全処分可能に

 

2004年

・最低売却価額制度から売却基準価額制度へ

競落する業者の顔ぶれは時代とともに変化していく

かつて(民事執行法施行前)、不動産競売の売却場は競売業者によって占められていて、一般の人はなかなか入札に参加できない状況であったといわれます。裁判所内に売却場があるのにもかかわらず、売却場の入口にコワモテのお兄さんが立ちはだかっていたというのですから、さぞ異様な光景であったに違いありません。

 

こういったことがあったので、民事執行法第65条に売却の場所の秩序維持というくだりが設けられたのでしょう。さて、親子二代にわたり、競売不動産を扱っているという業者が、かつてこんなふうに語っていました。

 

「昔は取れる(落札できる)物件があらかじめ分かった。予定が立てやすかったのだが・・・今は誰が入れてくるか分からず、やりにくくなったよ。そこで最近は、占有状況が複雑な物件で、公告される前にその裏事情をつかみ切れるものだけを扱っているんだ。他の人が入れやすい物件はなかなか取れないからね。」

 

時は流れ、今やこの業者さんもほとんど入札していないようです。競落する業者の顔ぶれは時代とともに変わっていきます。ただ、やはり、入札者の中心になるのは不動産業者ではあります。

本連載は、2015年3月7日刊行の書籍『プロが教える競売不動産の上手な入手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

山田 純男

株式会社ワイズ不動産投資顧問 代表取締役

昭和32年生まれ。昭和55年慶應義塾大学経済学部卒業。三井不動産販売(株)(当時),(株)リクルートコスモス(当時)勤務を経て現職。平成5年より競売不動産に関する調査,コンサルティングを開始。不動産投資全般のコンサルティングや底地・借地などの特殊物件投資提案も行っている。公認不動産コンサルティングマスター,行政書士,宅地建物取引主任者,土地家屋調査士有資格者。

著者紹介

竹本 裕美

竹本法律事務所 弁護士

昭和31年生まれ。早稲田大学法学部卒業。昭和60年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。平成元年竹本法律事務所を開設。 企業法務に携わるかたわら、企業の倒産処理を多数手がけてきた他、倒産事件に伴う不動産の処理及び不動産競売に関する事件に長年の経験と実績を有する。

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