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連載プロが教える「競売不動産」の特徴と上手な入手法【第9回】

<ケーススタディ>競売物件の「入札価額」の決定方法

競売物件

<ケーススタディ>競売物件の「入札価額」の決定方法

今回は、競売物件の入札価額の検討方法をケーススタディで見ていきます。※本連載は、株式会社ワイズ不動産投資顧問の代表取締役・山田純男氏、弁護士・竹本裕美氏の共著、『プロが教える競売不動産上手な入手法』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、不動産を格安で手に入れることができる、簡単・安心な競売のノウハウをご紹介していきます。

買受付金の他に必要な「付帯費用」を算出

前回の続きである。入札物件を決めた田中さんと、入札価額の検討に入った。まずそれには、買受代金の他にどれだけ付帯費用がかかるかを出してみる必要がある。下記の図表は、付帯費用の予算書である。

 

【図表】

はじめに、所有権移転登記にかかる『登録免許税』であるが、これは、土地建物とも課税価格である固定資産評価額に税率2%を乗じた金額である。このときマンションの土地課税価格は全体の敷地の評価額にその部屋の土地共有持分を乗じたものになる。しかし、この計算の元になる固定資産税評価額はかつて評価書に記載されていたが、現在は個人情報の関係とのことで記載がない。したがって評価書中、土地と建物の積算価格の約6割程度を想定の固定資産税評価額として計算することとする。

 

さらに買い受けた不動産の抵当権などの登記抹消に要する登録免許税として不動産の個数×1000円が加算される。不動産の個数は登記簿ごとの単位になるので、一戸建で敷地が数筆にもなっている場合はそれぞれの筆が個数に勘定される。またマンションの場合は土地の持分が建物の記載されている「敷地権」登記となっているものであっても、土地・建物別ものとして個数に勘定される。

 

他に、代金納付にあたり、郵便切手代2千円強が必要となり、また、引渡命令を申し立てる場合は、さらに、印紙代5百円+郵便切手代約2千円が必要となる。本例では、一応、引渡命令申立てを前提として、計算してある。

うまくいけば市場価格の3割引以上で入手できるが・・・

さて、『内装工事代』であるが、競売不動産は、あらかじめ内部を点検できず、内装費がいくらかかるかの予想は大変難しい。本例では、いわゆる表装をすべて行うものとして予算を立てた。築年の古いマンションなどは、水回りの補修などにお金がかかるケースが多く、その分はみておいたほうがよいだろう。また、競売不動産ということもあり、鍵の交換代なども考えておかなければなるまい。

 

さて、問題の『明渡交渉費』であるが、本例の場合、引渡命令がとれる物件なので、もし、強制執行による明渡しを行うとした場合に要する費用を計上しておいた。この金額をベースに、占有者と示談交渉に臨む。

 

『滞納管理費』については、管理会社へ問い合せて調べる。本例の場合は、19ヶ月分の滞納があり、これに、明渡完了までの期間を考慮し、予算計上した。

 

『不動産取得税』については、納税通知書が送達されてくるのが代金納付後半年後位である。しかも、田中さんは自住用として購入されるため、課税軽減が受けられる。なお、自住用ではない場合、35万円程度は課税されよう。

 

さて、以上のとおり、付帯費用の予算を立てたところで、いよいよ入札価額の決定である。田中さんがもし、売却基準価額で落札できれば、全体予算は、

 

本体価格 1602万円

+付帯費用 265万円

合計     1867万円

 

となるわけだ。

 

市場価格の2900万円~3100万円と比すれば、3割引以上で入手できる。しかし、売却基準価額ちょうどで落札できるのだろうか。(なお、本例のように弊社にコンサルティングを依頼した場合、別途弊社への業務委託費が掛かる。なお、金額は依頼内容によって異なるので、詳細を知りたい場合は筆者が代表を務める株式会社ワイズ不動産投資顧問にご連絡願いたい。)

本連載は、2015年3月7日刊行の書籍『プロが教える競売不動産の上手な入手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

山田 純男

株式会社ワイズ不動産投資顧問 代表取締役

昭和32年生まれ。昭和55年慶應義塾大学経済学部卒業。三井不動産販売(株)(当時),(株)リクルートコスモス(当時)勤務を経て現職。平成5年より競売不動産に関する調査,コンサルティングを開始。不動産投資全般のコンサルティングや底地・借地などの特殊物件投資提案も行っている。公認不動産コンサルティングマスター,行政書士,宅地建物取引主任者,土地家屋調査士有資格者。

著者紹介

竹本 裕美

竹本法律事務所 弁護士

昭和31年生まれ。早稲田大学法学部卒業。昭和60年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。平成元年竹本法律事務所を開設。 企業法務に携わるかたわら、企業の倒産処理を多数手がけてきた他、倒産事件に伴う不動産の処理及び不動産競売に関する事件に長年の経験と実績を有する。

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