今回は、競売の入札から開札までの流れをケーススタディで見ていきます。※本連載は、株式会社ワイズ不動産投資顧問の代表取締役・山田純男氏、弁護士・竹本裕美氏の共著、『プロが教える競売不動産上手な入手法』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、不動産を格安で手に入れることができる、簡単・安心な競売のノウハウをご紹介していきます。

戦術的に端数を付け「2160万2千円で入札

前回の続きである。入札価額検討にあたり、ここ最近の入札傾向を見てみることにした。ここ1ヶ月間で、開札対象となった物件数は、約500物件。この中から類似の物件の開札結果を拾い出してみた。なお、金融機関の自己競落、または、それに準ずる入札については除いた(本例においては、債権者内容から、まずそういったことはないと予想している)。

 

主な開札結果事例を検討したところ、入札なしの物件もあり、さほどの競合は考えられない。しかし、築年が新しく、また、引渡命令のとれる物件については、そこそこ入札が集まっている。田中さんとしては、予算は3000万円程度はあるものの、できれば、より割安に入手したい。

 

そこで、打合せの結果、入札が10~15本入ると仮定し、売却基準価額の35%弱を上乗せし、入札することとした。具体的には、入札価額2160万2千円としたのである。

 

なお、入札価額には戦術的に端数である2千円を付けた。田中さんは、融資を受ける銀行に、予算書を提出した。さらに、融資額を全体予算の8割程度とし、2000万円を申し込むこととした。そして入札書を作成し、入札保証金401万円を銀行から振り込んだ。入札保証金振込証明書をはじめ、入札書類一式を整え、東京地裁民事執行センターの執行官室へ提出した。

 

【図表1】類似の物件の開札結果

東京地裁民事執行センター入札結果発表は・・・

入札してから1週間経ち、いよいよ開札日(7月14日)となり、田中さんと東京地裁民事執行センターの売却場へと足を運んだ。

 

午前9時30分、いよいよ開札である。入札書の入った箱が開けられ、入札書が1枚ずつ封筒から出される。入札書は物件ごとにバインダーに挟まれて、執行官の手元に渡されていった。執行官は、渡された入札書をチェックしていく。こうした作業に30分位要した後、開札結果の読上げに移っていった。次々と開札結果が読まれ、いよいよ田中さんが入札した物件の番である。事件番号、物件番号売却基準が読まれた。

 

そして、入札の結果である。「入札本数16本で最高価買受申出人は入札価額2160万2千円で田中△△と決定します。なお、次順位が入札者○○建設入札価額2051万円です。」と告げられた。これを聞くと、思わず田中さんと握手をしたのであった。落札が決定し、田中さんと今後のスケジュールを打合せした。まず、基本的なスケジュールは、

 

1.売却許可決定   2014年7月21日

2.売却許可決定確定 2014年7月28日

3.代金納付     2014年9月下旬~10月上旬

 

といったところだろう。占有者との接触は、当初の打合せどおり、売却許可決定が確定し、売却許可決定の謄本が取れてからとすることとした。田中さんには、融資銀行に落札できたことを報告してもらうこととした。そして7月21日、下記のような売却許可決定が東京地裁民事執行センターに掲示されたのである。

 

【図表2】売却許可決定

 

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    本連載は、2015年3月7日刊行の書籍『プロが教える競売不動産の上手な入手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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