購入した物品が「必要経費」になるタイミングとは?

本連載は、税理士・髙橋智則氏の著書、『ビジネス図解 個人事業主のための節税のしくみがわかる本』(同文館出版)の中から一部を抜粋し、物品の購入費を経費化して個人事業主が節税する方法を、税金の基礎知識と合わせて紹介していきます。

10万円以上の「モノ」は複数年に分割して費用化

事業の営業活動を行なうために購入したモノは、当然ながら必要経費になりますが、必要経費になるタイミングがあります。厳密に言うと、購入した時点ではなく、モノが消費されたときに費用になります。

 

しかし、実際に消費した時点をいちいち記録して費用として計上することは現実的ではありませんから、実務的には、金額が少額なものについては簡便的に購入した時点で費用に計上することにしています。

 

少額かどうかの金額基準は、10万円で線引きされます。10万円以上のものは、原則として複数年で分割して費用に計上することになります(これを「減価償却」と言います)。

 

少額のモノは購入した時点ですぐに費用化できますが、10万円以上になると、そのモノが使える期間で分割して経費として落とすことになるため、買った時点ですぐに全額を費用にすることはできません。節税の観点から考えると、税金は利益が出て一度支払うと基本的には取り返せませんから、費用はできるだけ前倒しして早く計上することが大事です。

過去購入品も事業用として使用した分だけ経費になる

必要経費になるかどうかは、事業との関連性があるかどうかで判断することになります。例えば、事業を始める前のサラリーマン時代に購入した自家用車があり、それを事業用として使用する場合には、生活用として購入したものであっても、その購入費用は事業における必要経費として計上することが可能です。

 

ただし、過去の購入費用がそのまま経費になるわけではありません。購入時点から事業に使用されるまで、家事使用した期間の価値の目減り分を差し引いた金額を、今後その自家用車が使用できる期間で分割して、費用に落としていくことになります。

 

【図表 購入した物品が費用になるタイミング】

注意点

●事務用品や包装材料、商品パンフレットなどの消耗品を節税対策のために年末に
大量購入し在庫となっている場合、原則として、その在庫品に対応する金額は必要
経費にはならず、貯蔵品として棚卸資産に計上する必要がある

 

●ただし、その物品を毎年概ね一定数量を購入し、かつ経常的に消費するものであるならば、購入時に全額必要経費に計上する経理処理を毎年継続することを条件に、購入時に全額経費算入することが認められる

 

●節税を重視しすぎて、あまりに過度な消耗品等の購入をした場合には、在庫分を貯蔵品に計上すべきとして、必要経費に認められない可能性があるため、注意する必要がある

本連載は、2016年4月7日刊行の書籍『ビジネス図解 個人事業主のための節税のしくみがわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

アルトブリッジ税務事務所  代表・税理士

零細企業での勤務経験を通じ、税理士という職業を知ったことをきっかけに一念発起し、税理士資格を取得。中小・個人企業の支援を中心とする会計事務所に勤務の後、医業を専門とする会計事務所、外資系大手会計事務所の国際部門での勤務を通じて、個人商店の税金申告から上場企業の国際税務コンサルティングに至るまで、幅広い税務アドバイスの経験を有する。
独立後は、開業初期の小さな会社や歯科医院などへの節税アドバイス、海外取引をする中小企業に対する国際税務支援を精力的に行なっている。

著者紹介

連載個人事業主が「モノに対する経費」で節税する方法

ビジネス図解 個人事業主のための節税のしくみがわかる本

ビジネス図解 個人事業主のための節税のしくみがわかる本

髙橋 智則

同文館出版

事業を円滑に運営するためにできるだけ多くのキャッシュを手許に残すには? 税金にあまりくわしくない個人事業主に向けて、税理士が節税の基本的な考え方を、図解を用いてわかりやすく解説。読者自らが節税のアイデアを考えるこ…

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