スマートフォンの普及が新興国の「交通」に及ぼす影響とは?

最終回は、スマートフォンの普及が新興国の「交通」に及ぼす影響について考えます。 ※本連載は、ジャーナリストとして活躍する桃田健史氏の著書、『IoTで激変するクルマの未来』(洋泉社)の中から一部を抜粋し、100年に一度の転換期の真っ只中にある「クルマのIoT化」の最前線を紹介します。

経済発展度に関係なく増えるデジタル・ネイティブ世代

前回に引き続き、アジア各地で広がる「ディ・モータリゼーション」の観点について説明する。

 

この「ディ・モータリゼーション」の観点でもう一つ気になるのが、新興国でのスマートフォンの急激な普及による交通への影響だ。

 

新興国や経済後進国で庶民や企業がクルマを買わずに、効率的な移動を確保する動きが加速するはずだ。すでに、タイ、マレーシア、ベトナム、インドなどでウーバーをはじめとするベンチャーがライドシェア事業を拡大し始めている。

 

また、車載型カーナビの普及率が低いため、スマートフォンのグーグルマップなどをナビゲーションに使う人がほとんどだ。スマートフォンを使ったSNSもフェイスブックやツイッターだけではなく、タイではLINEが積極的にプロモーションしていたり、そのほかの新興国でも独自のSNSが出始めている。

 

幼少期からパソコンなどのデジタル通信機器がある環境で育った「デジタル・ネイティブ」世代は、新興国、経済後進国、先進国といった国の経済発展レベルにかかわらず、どんどん増えている。彼らは各国内でデジタル化の流れを加速させ、人々の「モノやコトに対する考え方」を大きく変えている。

ミャンマーでは効率的な都市移動が実現する可能性も

その一端を、2015年10月に訪れたミャンマーのヤンゴンで感じた。

 

車道は右側通行なのだが、走っているクルマは日本から輸入された中古の右ハンドル車ばかり。タクシーや商用車にはトヨタの「プロボックス」が多く、それらの車体にはトヨタオート東京、愛媛トヨタなどのステッカーが貼られたままだ。また、バスも日本からの中古車が多く、なかでも神奈川中央交通バスが目立った。

 

だが、よく見ると、とんでもないことをしている。右ハンドル車を右側通行で利用しているため、バスの車体左側にある前後のドアが使えない。そのため車体右側に無理矢理大きな穴を開けて、そこから乗り降りしているのだ。

 

そうしたハチャメチャな交通事情のなか、停留所でバスを待つ人々やタクシーの運転手の手元には最新型のiPhoneやサムスンのギャラクシーがあり、世代を問わずSNSなどを使いこなしている。

 

新政権発足で民主化がさらに進む可能性があるミャンマーで、政府主導によるライドシェアを駆使した効率的な都市移動が実現してもおかしくはないと感じた。

 

このように筆者は、さまざまな新興国の現場で、ディ・モータリゼーションの前兆を肌身で感じている。

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連載クルマのIoT化で激変する新興国市場の未来

ジャーナリスト

1962年、東京生まれ。欧米、中国、東南アジア、中近東などを定常的に巡り、自動車、IT、航空、エネルギー、サイバーセキュリティ関連企業や、ウーバー、バイドゥなどベンチャーを積極的に取材。国内では高齢者の運転に関して各地で取材。ダイヤモンド、日経BP、自動車関連メディアなどで執筆。レーシングドライバーの経歴を生かして、日本テレビのレース番組解説者としても活躍。

著者紹介

IoTで激変するクルマの未来

IoTで激変するクルマの未来

桃田 健史

洋泉社

米IT大手のアップルやグーグルはじめ、ライドシェアを普及させているウーバーやリフト、世界各国のベンチャー企業が自動車産業に続々と参入。自動車業界はいま、100年に一度の転換期の真っ只中にある。IoT化が急速に進むなか、…

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