今回は、「カンボジア」の自動車産業についてみていきます。 ※本連載は、ジャーナリストとして活躍する桃田健史氏の著書、『IoTで激変するクルマの未来』(洋泉社)の中から一部を抜粋し、100年に一度の転換期の真っ只中にある「クルマのIoT化」の最前線を紹介します。

大型中古車販売業者の店頭にズラリと並ぶレクサス

ASEAN諸国を周るなかで、「一歩先のパラダイムシフト」を感じた国があった。それは、「アンコールワットの国」として知られるカンボジアだ。

 

同国の経済の主体は観光と縫製業だ。近年、「チャイナ+1」や「タイ+1」として製造業の進出先として注目されるなか、自動車部品メーカーにも動きが出てきた。新車需要は周辺諸国と比べてまだ小さいが、カンボジアならではの特殊な事情がある。

 

プノンペン市街各所を走っている車は、レクサスがとても多い。左ハンドルの「RX300・330」「GX470」、そして「LX570」などのSUVが目立つ。

 

平日の午後、交通量の多いカンボジア王宮付近で定点観測してみたが、レクサスを含むトヨタ車が交通全体の半数以上を占める印象だ。そのなかには90年代以降の「カムリ」も多く、また第二世代「プリウス」や「RX400h」などのハイブリッド車もかなりある。大型中古車販売業の店頭を見ても、レクサスがズラリと並ぶ。

市街を走る車の多くがアメリカから輸入された事故車!?

このような街の光景に強い違和感を覚えた。なぜなら、カンボジアの一人あたりのGDPは950ドル。周辺のベトナムやラオスより少なく、モータリゼーションが加速すると言われる同3000ドルレベルまで大きな差があるからだ。

 

新車販売台数は、公的な資料が存在しないが、各種報道では年間数千台程度という小規模である。だが、プノンペン市街はレクサス以外にもレンジローバーやメルセデスなどの高級車が数多く走行しており、主要な道路は朝晩、大渋滞しているのだ。

 

さらに取材を進めていくと、現地取材前に抱いていたイメージと現実のミスマッチに驚くべき事実が隠されていることがわかった。なんと市街を走るクルマの多くが、アメリカから輸入された事故車だという。

 

そうしたなか、トヨタは同社として世界で初めて、並行輸入車を正規の新車販売ディーラーで修理しているという。

 

次回は、その実態を知るためトヨタカンボジアの河端政明社長に話を聞く。

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