前回は、地元の住民に受け入れてもらえる「開かれた動物病院」にするためのポイントを説明しました。今回は、不安や心配を抱いている飼い主に対して、ストレスや心理的苦痛を与えない、動物病院の「空間作り」について見ていきます。

安心感や好ましい印象を与える「待合室」に

動物病院を訪れる人にとって、待合室の雰囲気や色、デザインは非常に気になるものです。病気やケガに苦しんでいる愛犬、愛猫を抱え、ただでさえ大きな不安や心配を抱いているのに、待合室の与える印象に、落ち着かないような、いらいらさせるようなところがあれば、強いストレスや心理的苦痛を受けることになりかねません。

 

そのような飼い主の内面を深くおもんぱかるのであれば、待合室のつくりに対しては十分な注意を払うことが求められるでしょう。飼い主に対して安心感や好ましい印象を与えるような待合室にするためには、具体的に以下のような点がポイントとなります。

ストレスを与えない空間を演出

①明るく落ち着いた色やデザインにする

色は優しげな暖色系が望ましいでしょう。

 

②できるだけ高く、広くする

人間は高さや広さを感じられるほうがリラックスできます。したがって、天井はできるだけ高くし、外の光景がみられるような構造にするなど、最大限に広がりを感じられるように工夫するとよいでしょう。


③スペースを広めにする

ゲージなど飼い主が持ってくる荷物は大きめになりますので、それらを置けるよう十分なスペースが必要となります。


④ペットが入り口から逃げないような構造にする

待合室と入り口の扉が直結しているのであれば、そこから簡単に逃げられないように、自動ドアは避け、さらに二重ドアにする、あるいは簡単に開けられないよう重量のあるドアにするなどの対策が必要です。スペース的な余裕があれば、風除室を設けることを検討してみてもよいでしょう。風除室は風が直接入ってこないようにすることを目的とするものですが、逃亡防止にも役立ちます。


⑤犬と猫で待合室を別々にする

特に猫は、犬に対して強い不安感や敵意を示すので、犬と同じ空間にいると、飼い主ともども強いストレスを覚えるかもしれません。待合室が分かれていれば、そのようなストレスを感じずにすむでしょう。待合室を別々にすることが難しければ、犬と猫の飼い主が自然と離れた場所に座るように誘導するようにしましょう。


⑥音楽や映像を流しておく

耳に心地よいBGMや、あるいはモニターで美しい映像などが流れていると、診療や会計を待っているストレスが軽減される効果があるようです(映像については、たとえばDVDよりもブルーレイディスクの方が画質が鮮明なので、より好まれる傾向がみられます)。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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