経営者として自覚すべき動物病院の「院長の職責」とは?

前回は、動物病院の経営指標で「同業種の平均値」が重要となる理由を説明しました。今回は、経営者として自覚すべき動物病院の「院長の職責」について見ていきましょう。

何かと役に立つ「獣医師会」への加入も検討

開業時には、獣医師会への加入を検討することになるかと思います。しかし、その入会金、年会費の高さに驚いて入会を躊躇する人も多いのではないでしょうか。

 

たとえば、関西某市の獣医師会の場合、入会金は50万円、会費は年3万円となっています。

 

テナントの保証料や医療機器の購入などのためにお金がいくらあっても足りないという状況なのに、「こんなに高い入会金をポンと出そうという気にはなれない」というのが率直な思いでしょう。

 

もちろん、獣医師会は入会を強制されているわけではないので、資金的な余裕がないのであれば無理に入ることはありません。

 

ただ、獣医師会に入っていれば何かと役に立つことがあるのも事実です。たとえば、震災のような非常事態の中で不測の損害を被った場合などには、獣医師会がすぐさま支援してくれるかもしれません。

 

前述した(※第6回参照)第田園調布動物病院の田向院長も、「自分は愛知県出身で、また大田区に家族や親戚が住んでいたわけでもなく、東京には全く地縁がなかったのですが、獣医師会に入ったおかげで地元の動物病院と横のつながりができ、独りよがりになりがちな獣医療の情報交換ができるようになりました」と述べています。

 

このようなメリットに魅力を感じるのであれば、資金的な余裕が生まれたときにでも、獣医師会への入会を前向きに検討してみるとよいかもしれません。

「獣医」としての仕事に没頭するのは素晴らしいが…

動物病院の院長となった瞬間から、その両肩には自らの家族はもちろん、スタッフやその家族の生活に対する責任が重くのしかかってくることになります。

 

万が一、病院の経営がうまくいかないようなことがあれば、最悪の場合、スタッフに給与を支払うことができなくなり、多くの人々の生活に大きなダメージをもたらすおそれがあります。

 

そのような意味において、院長の職責はまさに〝重責〟と呼ぶにふさわしいものといえます。

 

しかしながら、このような経営者としての重責を、動物病院の院長の中でどれだけの数の人が強く自覚しているのかはわかりません。

 

院長は経営者でありながら、一方では自らもスタッフの獣医師らと同じように日々、診療を行います。そして、獣医師の仕事に没入しているときは、目の前の動物たちを治すことだけをただ考えているはずです。

 

もちろん、それは非常に素晴らしいことですが、そのような毎日が続く中で、もしかしたら自身が経営者であるという意識が薄らいでしまうおそれもあるでしょう。動物病院が激しい競争を強いられている中では、やはり院長が経営者としての強い自覚をもって、大局的な視点から生き残りのための、あるいはより多くの利益をあげるための戦略を考えることも必要となります。

 

「自分は獣医師であるだけではなく経営者でもあるのだ」という強い自覚を、ぜひ絶えずもち続けることを心がけてください。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載動物病院を繁盛させる経営の鉄則50

百瀬弘之税理士事務所 代表

1957年東京生まれ。税理士。2003年から動物病院開業コンサルタント業のahed社と提携。
経営と税務会計、両方の視点から独自のコンサルティングを行うことにより、これまでに数十軒の動物病院の経営を成功へと導いている。
趣味はギター。東京税理士会「ゆがみBAND」ベーシストとしても活動中。

著者紹介

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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