利益圧縮による株価引き下げは事業承継対策の基本です。あらかじめ親族の役員報酬を増額しておくという方法も、具体的な対策のひとつとして活用できます。

家族・親族が役員なら活用を検討

会社の業績も順調で、このままでは来期の利益が上昇する。通常であれば、会社経営者にとって、これほど喜ばしいことはありません。しかし、事業承継のプラン実行のため、自社株式の評価引き下げという状況下においては、株価が一気に上昇する事態は回避したいところです。
 
長男が専務であったり、親族が役員であった場合、役員報酬を上げることで、会社の利益圧縮による株価引き下げはもちろん、「増額した分はプールしておく」ことで、後の相続税支払いの原資とすることもできますので、事業承継にとってはよりよい条件を作り出すことができます。
 
ただし、役員報酬は、あまりにも不相当に高額な場合は、高額の部分が損金扱いになりませんので、適正な範囲に報酬額を収めておく必要があります。

損金扱いできる役員報酬額の範囲

役員報酬額が過大であると判断する基準は、「実質基準」と「形式基準」の2つによって算出された報酬額とされています。どちらにも当てはまるときは、金額の多いほうが過大役員報酬の額になり、超過している額は損金に算入されないことになります。
 
過大報酬の判定基準のうち「実質基準」とは、会社が役員報酬として支給した額が、以下のような事項を考慮して算出したときに、役員の果たす職務の対価として著しく超えているか否かを判定するものです。
 
(1)役員の職務内容(会長、社長、専務、常務、平取締役、監査役など)との比較
(2)会社の収益状況との比較
(3)従業員に対する給与との比較
(4)同種の会社の役員報酬との比較
 
ただし、役員報酬については勤続年数や勤務形態、あるいは会社への貢献度などによって、高額報酬に合理的な理由があれば必ずしも認められないわけではありません。
 
一方、「形式基準」とは、会社の定款や株主総会で決議された、役員と監査役の支給限度額を超えている金額を指します。これらの支給限度額を超えると、過大報酬と判断されます。会社の役員報酬の支給限度額は通常、株主総会の決議によって、取締役と監査役を区分した上で、両方の総額が定められますので、これを超えると過大報酬になるわけです。

 

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