役員報酬の増額は、事業承継対策にも有効ですが、「増額」の合理性をきちんと示す必要があります。今回は、そのポイントを見ていきましょう。

法律に則った取扱いが何より基本

前回は、家族への役員報酬を増やすことで株価を引き下げる考え方を紹介しました。会社法に則ってもう少し詳しく解説すると、会社と取締役と監査役の関係は委任関係にあるため、役員報酬の支給限度額が決められていないときは、役員報酬は無報酬が原則になります。
 
したがって、こうした状態で役員報酬を支給すれば会社法に違反することになるので、必ず定めておく必要があります。また、事業承継時期に合わせて計画的に役員報酬を増額するときも、同様に株主総会の決議が必要になります。

期首3カ月後の報酬増額は認められない

役員報酬は、増額に対しても合理性と手続きが必要になりますし、事業承継対策として利益圧縮を図るためにも、増額が恣意的に行われるものではないことを明らかにすることが求められます。
 
役員報酬増額の合理性を示す要素としては、例えば次のようなものが考えられます。
 
(1)従業員給与の昇給時期・昇給率等とのバランスを考慮する
(2)株主総会決議で各役員の支給限度額を定めておく
(3)取締役会議で各役員の報酬額を合議によって決め、取締役会議事録に実際の報酬支給額を明記しておく
 
また、増額した後は、一定の報酬額をある程度継続して支給することも必要だと思います。なお、会計期首から3カ月を過ぎてからの役員報酬の増額は原則として認められませんので、事業承継に合わせて適正額をあらかじめ算定し、役員報酬の増額を確実に実行できるようにすることが大切です。

 

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本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

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編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

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