種類株のひとつに「黄金株」があります。黄金株は、会社の通常業務での議決権を除き、会社にとって重要な決定事項に関してのみ議決権に力を及ぼし、拒否権を発動することができる、まさに黄金の株です。事業承継に活用する際のポイントを見ていきましょう。

後継者の経営能力に不安を持つケースもあるが・・・

「会社はすでに長男に継がせたけど、どうしても心配で・・・。でも、もう株式もわたしてしまったからなぁ」――。
 
先代の心配をよそに、後継社長も少しは失敗しながら経営者としての能力を高めて成長していくに違いありません。もちろん小さな失敗なら笑い話で済みますが、会社の屋台骨を揺るがすようだと黙ってはいられません。先代経営者としては、できるなら自分の力で何とか回避してあげたいところです。
 
そんなケースを想定した種類株のひとつが「黄金株」です。黄金株を1株発行し、通常2~3年間くらい後継者の後見人的な立場で、合併など会社の重要な議決にのみ介入します。ただし、中小企業経営承継円滑化法を利用する場合は、この黄金株を発行していないことが条件です。

「黄金株は発行すべきでない」という専門家も

黄金株は事業承継する際、オーナーの気持ちの整理の付け方としても役立ち、事業承継向きの株式といえます。
 
黄金株の相続税評価額は、通常の株式と変わりません。拒否権を発動できる事項は、あらかじめ決めておきます。会社を解散する、会社を合併させるなど、会社の屋台骨を根本から変えるようなものに限定します。例えば「黄金株をもっている株主からの承認がなければ○○できない」とか、株式の定款規定なら「取締役の選任権について黄金株の株主の承認を受けなければならない」といったことを明記しておくのです。
 
黄金株のトラブルとしては、オーナーの死亡後行方不明だった黄金株が、甥の手に渡り、後継者が慌てて買い取ろうとしたら「プレミアをつけて買い戻してほしい」と要求されることもあります。
 
黄金株は発行すべきではないという専門家もいますので、もし発行する場合は、徹底した管理と、オーナー死亡後は会社が買い取るといった契約を結ぶこともリスク回避には必要です。

 

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