減速する中国経済――その実態を読み解くカギとは?

いよいよ表面化してきた中国経済の減速。世界経済の巨大なリスク要因として注目を集めているが、この減速は実際のところ、どの程度深刻なのだろうか。本連載では、財務省OBで、現在、日本ウェルス(香港)銀行独立取締役の金森俊樹氏による、詳細な分析レポートをお届けする。

本年成長目標も6%台後半~7%程度の可能性が高い!?

中国経済は昨年の成長率が6.9%と減速、本年もかつてのような高い成長率に戻る見込みは少ない。なお不安定な中国株式市場と人民元相場の動きが相まって、世界経済の大きなリスク要因のひとつとして材料視されている。

 

本年成長率目標は3月初めに開催される全国人民代表大会(全人代)で決定されるが、昨年末の経済工作会議(例年、年末に党と国務院が共催で開く重要会議で、翌年の経済運営方針を議論・決定)での議論などから見て、おそらく6%台後半からせいぜい7%程度、また次期第13次5ヶ年計画(2016-20年)の年平均目標も6.5%程度に止まる可能性が高いと見られている。

 

それでは、中国経済の実態は、実際のところ、どの程度深刻なのか、問題の所在はどこにあるのか、中国経済のリスクをどう評価すべきか、本連載ではまず、中国経済が巨大な経済体であることに鑑み、1.その地域毎の動向とそのリスクをどう把握すべきかを議論し、2.中国経済にとって当面の最大の政策課題である産業の過剰生産能力の解消に焦点を充て、その実態と問題点は何か、3.中国経済の減速をどう解釈し、また受け止めるべきか、4.最後に、中国経済への懸念が高まっている要因のひとつである、中国経済統計の信頼性の問題について触れる。

 

全体の構成は次の通りである。

 

1.巨大な経済体は地域別の動向を見ることが不可欠


産業構造変化の遅れと資源依存がリスク要因に
なお成長が不動産投資に大きく依存
不動産市況低迷が地方債務リスクを増幅
債務からみた地方のリスク

 

2.当面の最大の政策課題―過剰生産能力の解消


2016年経済政策の最優先課題に
生産能力過剰の実態は?
問題を複雑にしている構造・体制要因
揺れ動く当局の対応

 

3.中国経済の減速をどう見るべきか?


深まる生産要素の制約
全要素生産性について、分かれる見方
政治サイクルも景気に影響
中国版サプライサイドエコノミクスに見る改革
政府が市場にどう向き合うのかという問題

 

4.統計の信頼性の問題


GDP統計とその他マクロ指標とのかい離
全国GDPと地方GDPのかい離
まったく動かない公式失業率
低すぎる?ジニ係数への疑念
貿易統計水増し疑惑

 

それでは次回以降、本論を述べていきたい。

 

 

※この連載は、本日より毎日1本(月曜日〜金曜日)ずつ公開予定です。

本稿は、個人的な見解を述べたもので、NWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) 独立取締役

1976年、大蔵省入省。1990年、アジア開発銀行理事代理、2000年、香港理工大学中国商業センター客員研究員。2003年、アジア開発銀行研究所総務部長、2006年以降、財務省神戸税関長、財務省財務総合政策研究所次長、財務省大臣官房政策評価審議官、2010年から大和総研常務理事等の要職を歴任。 2015年、NWB(日本ウェルス)の独立取締役に就任。一橋大学卒。香港中文大学普通話課程修了。
WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

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