本連載は、スパークス・グループ株式会社のウェブサイトに掲載されている「COLUMN / バフェット・クラブの金言」を転載したものです。

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会社の未来像を知っているのは、その従業員と経営者

スパークスの社内勉強会「バフェットクラブ」で飛び交う言葉やフレーズから、スパークスが考える投資の本質を掴んでほしいと思い、ご紹介していきます。今回は、「マクロはミクロの集積である」という言葉です。この言葉も、創業当初から私が運用調査を担当するメンバーに言い続けていることです。

 

「マクロ」というのは、マクロ経済というよりも「象徴的に分からないこと」という意味で使っています。例えば、短期的に日本経済の成長率がどうなるのか、日経平均株価が来月、半年後、1年後にいくらになっているのかということが、よくマスメディアで論じられていますが、それらを正確に予想することはできません。つまり、「マクロ」のことは、短期的には、正確に言い当てることができないのです。

 

一方で、分かることはあります。それは、私たちが毎日行っていることであり、これを私は「ミクロ」と呼んでいます。私たちの仕事でいえば、それぞれの会社で今起こっていることは分かるのです。

 

「ミクロ」を一番よく知っているのは、その会社の人、さらにいえば、会社の経営者です。つまり、「会社を評価する時、分かることを一生懸命分かるように努力しましょう」という意味で、私は「マクロはミクロの集積である」という言葉を呪文のように社員に繰り返し唱えてきました。

 

一ヵ月後、半年後、会社にどういうことが起こる可能性があるのかということを最初に感じるのは、その会社の社員であり、経営者なのです。その経営者、社員の言葉を直接聞こうということで、創業以来、全員で手分けをして、実際に会社に出向き、直接お話を聞くことを続けてきました。

 

当社は創業30周年を来年に控え、規模も拡大し、今では年間2,800回以上(2017年実績)の企業取材を行っています。もちろん、第4回のフィッシャーのところでお伝えした「周辺情報活用法」も重要ですが、原点は、やはり「現地現物」の企業調査にあると考えています。

 

分かること、「ミクロ」を徹底的に、できるだけ正確に知ろう。こうした考えのもと、「現地現物」で「ミクロ」の情報を集めていくことにより、時代の大きな流れが見え、日本経済の長期的トレンドと形が少しずつイメージできてくるのです。「マクロ」トレンドのイメージを修正し続けるプロセスが、まさにスパークスの「ミクロの集積の中に見えるマクロ」なのです。

 

株式市場が年末どうなるのか、ある会社の半年後の株価がどうなるのかといったような「マクロ」に関する予想を議論することは、スパークスが行うべきことではありません。その会社が今どういう状況で、経営者が何を考えていて、どういうことを問題として意識し、解決しようとしているかという「ミクロ」を集積することで「マクロ」を構築していくのです。

「ミクロ」の世界は、リアルなビジネスの世界

「マクロはミクロの集積である」という言葉を私は30年前に言い始めましたが、今この言葉の重みは、さらに増してきていると思います。市場が極端にAI(人工知能)化していると言ったら良いのでしょうか、AIで株価を予想することが有効であるかのような錯覚を多くの市場参加者が持ち始めているのです。

 

しかし、AIによって価格を予想した場合、正確であろうとすればするほど、投資の期間は短くなります。その結果、最近でいうと1秒、もしくは1秒にもならないような時間で、膨大な資金が回転売買をしている状況です。つまり、投資する時間がどんどん短くなっているのです。分からない「マクロ」をAIで知ろうとして、分かるという錯覚のもとにお金が動いています。

 

だからこそ私は、ますますこの「マクロはミクロの集積である」という言葉の重みが増していると考えているのです。というのも、「ミクロ」の世界は、リアルなビジネスの世界なのです。ビジネスも企業も最終的には人間が営むのです。

 

AIの助けを借りることはあったとしても、最終的には、人間が主体的に、今、リアルに起こっていることを一つひとつ徹底的に調べていくことが大切です。AI化する市場がバーチャルになればなるほど、私たちに資金を託す投資家の皆さんのために私たちができることは、「ミクロ」の世界を一つひとつ確実に積み上げていくことに尽きると思います。

 

 

そこから見えてくる「マクロ」の形こそが、日本経済、株式市場の現実(リアル)だからです。「マクロはミクロの集積である」。この言葉は、スパークスがリアルな投資をするための最も重要な呪文、マントラだと思っています。

 

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(2018年8月24日)

 

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