高級バーと立ち食いそば屋・・・効率的に稼げるのはどっち?④

今回は、高級バーとそば屋の「借入金」に焦点を当て、どちらがより効率的に商売ができるのか探ります。※本連載は、株式会社アジア・ひと・しくみ研究所の代表取締役で、経営コンサルタントの新井健一氏の著書、『儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている』(かんき出版)より一部を抜粋し、なぜ最強のビジネスモデルが「質屋」なのか、儲けの仕組みを説明します。

借入金が多いほど、返済にともなう利息も大きく・・・

前回の続きです。

 

しかし、先ほど徳川さんと中山さんの家計ですでに見てきたとおり、儲けの仕組みとしては違った見方をする必要があります。

 

まず収益を生み出すための元手となった借入金は、「収益-費用=利益」のどこにどのように表れるのか見てみましょう。

 

高級バーの場合:5000万円-4000万円=1000万円←2億円の元本返済

 

そば屋の場合:700万円-500万円=200万円←700万円の元本返済

 

高級バー、そば屋とも元手(借入金)の元本は利益から支払われます。そして借入金の返済にともなう利息は、「費用」から支払われます。高級バーの場合、2億円の借入金がありますから、その返済にともなう利息も当然大きなものになり、収益からマイナスする費用が大きくなります。

 

一方、そば屋の場合は、700万円の借入金ですから、収益からマイナスする費用は高級バーに比べ小さくなります。

 

高級バーの場合:5000万円-4000万円(←2億円の返済利息を含む)=1000万円

 

そば屋の場合:700万円-500万円(←700万円の返済利息を含む)=200万円

 

では、元手が借入金ではなく、資本金の場合はどうなるでしょうか?

 

同じく高級バー、そば屋ともに資本金の配当は利益から支払われます。ただ、配当の場合は、借入金の元本返済のようにあらかじめ金額が定められておらず、会社の裁量で出資者にどれくらいの配当を支払うかを決めることができる、ということでしたね。

 

高級バーの場合:5000万円-4000万円=1000万円(←2億円の配当を支払うためのお金)

 

そば屋の場合:700万円-500万円=200万円(←700万円の配当を支払うためのお金)

 

ただし、今回の設定では、高級バーは資本金なし、そば屋は資本金300万円なので、そば屋のみ300万円の配当が利益200万円から支払われることになります。

より少ない元手で、どれだけ多くの利益を出せるか?

そして、もうひとつ大切な視点があります。会社の儲けの仕組みについて「出木杉くん」か「のび太くん」かを見極めるための大事な物差しがあります。

 

会社がどれだけ効率的に儲ける力をもっているか、収益力の高さを判定する指標です。ちなみに、ここで言う「効率的」とは、「より少ない元手でどれだけ多く利益が出せるか」ということです。

 

利益÷元手(投資)×100(%)

 

これを資本利益率と言います。効率的に儲ける力は、額ではなく率で表します。試しに高級バーとそば屋の効率的に儲ける力を判定すると、次のようになります。

 

高級バーの場合:1000万円÷2億円×100(%)=5%

そば屋の場合:200万円÷1000万円×100(%)=20%

※そば屋の1000万円は、資本金300万円と借入金700万円を足した元手の合計です。

 

高級バーは利益が1000万円、そば屋は200万円で、利益の額は5倍も違います。この額だけで見ると、高級バーはそば屋よりはるかに儲かっているように見えますが、実は、儲けの仕組みとしては、そば屋のほうが高級バーより4倍も儲ける力があるのです。

 

結局、数字上では徳川さんが負け組、中山さんが勝ち組になるというわけです。

 

ちなみに、ちょっとだけ徳川さんを擁護しますが、利益の〝額〟もとても大事です。その話はまたあとで。

 

<POINT>

収益性分析では会社の儲ける力の強さ、儲けの効率性を判定します。ちなみに「効率性」とは、投資(元手)に対する儲けの大きさのことです。

 

この話は次回に続きます。

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連載なぜ「質屋」は最強のビジネスモデルなのか・・・儲けの仕組みの基本を学ぶ

株式会社アジア・ひと・しくみ研究所 代表取締役
経営コンサルタント 

1972年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、大手重機械メーカー、アーサーアンダーセン(現KPMG)、同ビジネススクール責任者、医療・IT系ベンチャー企業役員を経て独立。大企業向けの人事コンサルティングから起業支援までコンサルティング・セミナーを展開。

著者紹介

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

新井 健一

かんき出版

すべてのビジネスパーソンに必要な「数字」センスの磨き方 ここに、ひとつの事実があります。それは、一般のビジネスパーソンが知りたい「数字の知識」は、いわゆる「会計数字の知識」とはズレているということです。 ビジネ…

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