今回は、高級バーとそば屋の「日々の商売」の様子を想定し、どちらがより効率的に商売ができるのか探ります。※本連載は、株式会社アジア・ひと・しくみ研究所の代表取締役で、経営コンサルタントの新井健一氏の著書、『儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている』(かんき出版)より一部を抜粋し、なぜ最強のビジネスモデルが「質屋」なのか、儲けの仕組みを説明します。

客単価が高く、売上も見込めそうな「高級バー」

前回の続きです。さらには、高級バーとそば屋の「収益-費用=利益」を分解して(損益計算書のかたちに置き換えて)日々の商売を想像してみてください(以下の図表を参照)。

 

[図表]損益計算書から日々の商売を想像してみよう!

 

損益計算書を見ながら想像してみると、おそらく、それぞれ次のような感じで商売をしている光景が目に浮かびます。

 

まず高級バーの場合。

 

西麻布の高級なバーですから、テーブルチャージも相当高く請求することになります。会員制というシステム上、政界、財界、芸能界などからVIPがお忍びでやってくることも考えられます。そんなVIPたちですから、客単価も高くなるでしょう。だから、売上はけっこう膨らむに違いありません。

 

次に売上原価。これは仕入です。お酒や食材を安く仕入れて高く売れば、売上総利益の段階ではかなり儲かるのではないでしょうか。

 

その次の「販売費及び一般管理費」。まずは徳川さんのお給料はもちろん、VIPの相手ができる優秀なウェイターやウェイトレスを引っ張ってくるには、それなりの給料を払う必要があります。VIPとの交流で交際費もかかるでしょう。西麻布の店舗ですから毎月のテナント代も相当なものです。さらに店内には高級感あふれる調度品をそろえて……お金がかかってしかたがありません。

 

そして、営業外費用。2億円の借入金の利息を払わなければいけないので、毎月大きな負担がのしかかります。売上は伸びそうですが、とにかく膨大な費用がかかりそうですね。

客の回転率が良く、テナント代も格安で済む「そば屋」

一方、中山さんのそば屋はどうでしょうか。

 

まずは売上。高級バーのような華やかさは期待できません。かけそばが一杯1000円なんてまずあり得ないですから。日々、朝の通勤客をつかまえて、かけそばや素うどんをベースにワカメやたぬき、かき揚げなどのトッピングをつけて客単価のアップを狙います。立ち食いはお客さんの回転が速いので、数はけっこう出るでしょう。下校途中の学生もお客さんにできれば、もっと数がはけるはず。

 

次に売上原価ですが、これはおおむね食材の仕入になります。販売料金が安い分、無難な範囲で仕入れるので、それなりの売上総利益(粗利)を確保しています。

 

販売費及び一般管理費については、結局、中山さんは彼女を口説き落として、一緒にこの商売をはじめる予定なので、2人で1.5人分のお給料でもなんとかやっていけます。ちょうど利用者数の増えはじめた○○駅前に居抜きのこぢんまりとした物件が空いていて、しかも駅前ながら月々のテナント代は格安。

 

そして営業外費用。自己資金が300万円あるので、地元の金融機関が起業者にやさしい制度融資を申し出てくれることも考えられます。いずれにしても、借入金は700万円。その利息を毎月無理なく支払っています。

 

とりあえず商売ははじめられそうですが、朝が早く、せわしなく働くわりには、大きく儲かりそうもないというイメージでしょうか。

 

いかがでしょうか?

 

高級バーは収益が5000万円、そば屋は700万円で、商売の大きさ(規模)は約7倍違います。この規模だけで見ると、高級バーはそば屋よりはるかに儲かりそうに見えませんか?

 

この話は次回に続きます。

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

儲けの極意はすべて「質屋」に詰まっている

新井 健一

かんき出版

すべてのビジネスパーソンに必要な「数字」センスの磨き方 ここに、ひとつの事実があります。それは、一般のビジネスパーソンが知りたい「数字の知識」は、いわゆる「会計数字の知識」とはズレているということです。 ビジネ…

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