「為替レート」「海外金利」と日本の長期金利との関係

今回は、「為替レート」「海外金利」と日本の長期金利との関係を見ていきます。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

円安が金利上昇圧力になるメカニズム

最近では、個人投資家にも海外の金融資産への投資が身近になっているように、国境を越えた資金の動きが活発です。日本の投資家が海外の債券を購入する一方で、海外の投資家も日本の債券を購入します。このように国際間の取引が活発になると、為替レートや海外金利が日本の長期金利にも影響を及ぼします。

 

まず、為替レートが日本の長期金利に及ぼす影響を考えてみましょう。

 

円安になると、日本が海外から輸入している商品の価格が値上がりします。なぜなら、例えば1ドルで輸入している商品は、円安が進むと100円から110円へと円建ての価格が上昇するからです。それが国内の他の物価へも波及すると、金利上昇へとつながります。

 

また、円安になると、海外投資家が日本の債券を外貨に換算するときに価値が目減りします。円安は海外投資家の債券売りを促し、金利上昇圧力となります。

 

円高はこの逆の動きとなります。

 

なお、影響の波及の順番が必ずしも「為替レート→金利」ではないことに注意が必要です。背景にある経済・金融の環境によっては、「金利(海外との金利差)→為替レート」となる場合もあります。

 

[図表1]為替レートが長期金利に及ぼす影響

 

米国の金利上昇=日本の長期金利上昇になる理由

次に、海外金利が日本の長期金利に及ぼす影響を考えてみましょう。

 

米国金利を例にします。米国金利が上昇し日本の金利よりも魅力的になると、日本の投資家が米国の債券を買います。すると、日本の債券の買い手が減少し、金利上昇につながります。また、米国債券を購入するために円を売ってドルを買うので、円安となり、さきほどの為替レートの影響の経路をたどって、金利上昇へとつながります。

 

米国金利の低下の場合は、この逆の動きとなります。

 

[図表2]米国金利が日本の長期金利に及ぼす影響

 

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筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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