データで見る長期金利の動き・・・市場の予想や期待の影響は?

今回は、長期金利の実際のデータから、長期金利がファンダメンタルズの影響をどのように受けているのかを考察します。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット事業の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

似た動きをする「長期金利」と「名目GDP成長率」

『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』の22ページでは、長めの時間軸でみる場合、金融市場はファンダメンタルズ(経済の基礎的な要因)の影響を強く反映することを説明しました。では、実際に長期金利はファンダメンタルズをどのように反映しているのでしょうか。

 

長期金利は市場参加者の景気・物価に対する予想や期待の影響を強く受けるため、実際のデータでこれらの動きを確認してみましょう。

 

図表は、日本と米国の1980~2010年について、長期金利とGDP成長率の推移を示したものです。GDP成長率は、傾向的な動きがわかるように5年移動平均で推移が滑らかになるようにしています。また、経済成長率である実質ベースと、物価変動を含んだ名目ベースの2種類を表示しています。名目GDP成長率は、経済成長率(景気)と物価上昇率を合計したものと捉えることができます。

 

[図表]長期金利と名目GDP成長率は似た動きをする

(注1)新発10 年国債利回りは99 年3 月まで国債指標銘柄
(注2)GDP 成長率は、前年同期比の5 年移動平均
(出所:Bloomberg、Datastream)
(注1)新発10 年国債利回りは99 年3 月まで国債指標銘柄
(注2)GDP 成長率は、前年同期比の5 年移動平均
(出所:Bloomberg、Datastream)

 

グラフをみると、日米両国とも、長期金利は名目GDP成長率と似たような動き方をしていることがわかります。つまり、ファンダメンタルズに見合う長期金利の水準は、経済成長率と物価上昇率の合計に近いところにあると考えてよいでしょう。

 

 用語解説  GDP

GDP(国内総生産、Gross Domestic Product)は、ある国で一定期間に生み出された財・サービスの付加価値の総額を指します。平たくいえば、国内での「稼ぎ」の総額です。

名目GDPは実際の取引価格に基づいていますが、実質GDPは物価の変動分を取り除いています。そのため、経済成長率という場合は、物価変動を含まない実質GDP成長率をみることが多いです。

 用語解説  移動平均

一連のデータについて、一定間隔(図表では5年間隔)で平均値を計算し、1データずつ対象期間を移動させながら一連の平均値を計算するものです。データの傾向的な変化を読み取ることができます。

 

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筆頭執筆スタッフ・プロフィール:
瀬良 礼子(三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト)
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、マーケット企画部で自己勘定の運用企画を担当。以後、約20年にわたり、為替・金利を中心にマーケット分析に従事している。また、2000年に「金融マーケット予測ハンドブック」の執筆スタッフの一員となり、継続して改訂を担当している。2013年発行の第5版以降、執筆者代表として全体の監修も担当している。
情報が付加価値の源泉との意識をもちつつ、「経済統計など実際のデータをあたりながら、金利・為替市場の現状を読み解き、未来への展望を探る」、というスタイルで市場分析・予想を行っている。

著者紹介

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

株や投資信託で儲けたい人も、退職金を運用したい人も、NISAやiDeCoをお得に使いたい人も、まず必要なのは金融の知識! 現役マーケット・アナリストである著者が、わかりやすく金融のしくみを伝授する。著者の資産運用成績も…

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