誤解している人も多い!? 米国「ESTA」の使用条件とは?

前回は、米国で入国拒否されやすい人の入国パターンや滞在パターンについて解説しました。今回は、誤解している人も多い、米国「ESTA」の使用条件について説明します。

ビザなしで90日以下の滞在が可能となる"ESTA"だが…

まず、ESTAについておさらいをしましょう。

 

ビザ免除プログラム(VWP)は、特定の国籍の方が米国に渡航する場合、有効なパスポート、往復または次の目的地までの航空券・乗船券を所持し、渡米目的が短期の商用や観光であれば、ビザなしで米国に90日以下の滞在が可能となるプログラムです。(中略)渡米に際して、ビザ免除渡航者は、電子渡航認証システム(ESTA)で認証され、米国入国地で確認される必要があり、米国国土安全保障省(DHS)のUS-VISITプログラムに登録される必要があります。

(アメリカ大使館HP、http://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-visawaiverinfo.asp)

 

上記の「特定の国籍」には、日本や韓国、台湾なども含まれています。

 

このため、私たちは、電子渡航認証システム(ESTA)を通じて認証の申請を行い、これが認められると、90日以下の滞在であれば、ビザを取得することなくアメリカに渡航することができるのです。

 

しかし、これはあくまで「アメリカ行きの飛行機に搭乗できる」ということであって、アメリカへの入国まで保証されたものではありません。あくまで入国の際には、入国審査官による審査をパスしなければならないのです。

 

では、ESTAの範囲内である90日以内の滞在であっても入国拒否となる場合があるのでしょうか?

米国は「移住するかもしれない人」の入国を許可しない

実は、ESTAの使用方法を誤解し、その結果入国拒否を受けてしまう人は決して少なくありません。ここで、Bさんにお話しを伺ってみましょう。Bさんは、去年ハワイに85日滞在し、日本帰国して2週間後にまたハワイに40日滞在。日本に帰国して1ヶ月後、今度は20日滞在の予定で渡米したところ、入国拒否に遭ってしまいました。

 

★Bさんのお話し★

 

「ESTAって、1回滞在期間が90日以内であれば問題ないんでしょ? 条件を満たしていたのに、私は入国拒否に遭ってしまった。これっておかしくないですか? 90日を超えたことは一度もありませんよ。ハワイの仲間は私よりも頻繁に長期滞在を繰り返していますよ。それなのになぜ私だけが入国拒否となったのでしょうか? 入国審査官のミスではありませんか?」

 

残念ながら、BさんはESTAについて誤解をしてしまっており、入国拒否となるのは当然の成り行きだったと言わざるを得ません。それでは、どこに誤解があったのでしょう。

 

入国審査官が入国許可審査を行うに当たり、確認するポイントは次の点です。

 

①移住(住み着く)の恐れはないか?

②虚偽の申告はしていないか?

③不法就労の恐れはないか?

④今回の目的が申告内容の範囲であるのか?

 

Bさんが入国拒否となった理由は上記①です。

 

ここで注意しなければならないのは、「移住の恐れはないか?」という点で判断されることです。入国審査官は、「この人は移住するだろう」という人だけでなく、「この人は移住するかもしれない」という人に対しても、入国を許可しないということです。

 

Bさんの場合、頻繁に入国を繰り返していたことで、旅行の範囲を超えていると判断され、住み着いている、あるいは住み着く恐れがあると判断されたのです。

 

もし、90日以内であれば、何度アメリカに入国しても問題がないとすると、ハワイに90日滞在後、日本で1日滞在、その後ハワイで90日滞在・・・ということを繰り返すことが可能となり、年間累計で合法的に360日強、米国に滞在できることになってしまいます。これでは、厳しい要件を設けて永住権(グリーンカード)という制度を設けた意味がなくなってしまいます。ESTAだけで一年のほとんどをアメリカで過ごせることになってしまうわけですから。このような使用方法をアメリカが認めているわけがないのです。

 

あくまでも経験に基づく参考値ではありますが、当事務所では、年間累計で渡米回数が3回、あるいは累計滞在日数が90日を超えないような渡米にするようアドバイスしています。

 

もし、それ以上の滞在を安心してできるような環境を求めるのであれば、移住(住み着く)の恐れはないか? という疑いが障害とならなくなるための解決策、すなわち、米国の永住権(グリーンカード)の取得をご検討されることをお勧めいたします。

 

次回は、「3.アメリカ経済に貢献している人間に対して入国拒否などあるわけがないと思っていた」について説明します。

本連載は書下ろしです。原稿内容は掲載時の法律に基づいて執筆されています。

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弁護士法人
イデア・パートナーズ法律事務所 所長 弁護士

東京弁護士会所属
北海道大学理学部物理学科卒業
東京大学大学院理学研究科修了
北海道大学法科大学院修了

【主な役職等】
・経営革新等支援機関(平成25年4月~現在)
・犯罪被害者支援委員会研修員(平成21年4月~平成22年4月)
・非弁護士取締委員会委員(平成25年4月~平成27年4月)
・住宅紛争審査会紛争処理委員(平成27年9月~現在)
・弁護士会の各法律相談等担当(知的財産権・ライセンス契約分野,遺言信託分野,住宅専門家相談,女性のための法律相談)
・中野商工会議所相談担当
・足立区法律相談担当

民間企業(富士通)でシステムエンジニアとして勤務した後、平成20年に弁護士登録。米国渡航、ビザ・永住権等の問題はもちろんのこと、日本の各法分野(相続、不動産、知的財産、交通事故等)についても明るい。

著者紹介

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