マンション管理費等の滞納者に法的措置をとる場合の注意点

今回は、マンション管理費等の滞納者に法的措置をとる場合の注意点について見ていきます。※本連載では、マンション維持管理支援・専門家ネットワークの編著書『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、マンション管理組合に関連する「会計と税務」の基礎知識を紹介します。

裁判所の手続きにおいて必要となる管理規約等の資料

⑴決議

 

前々回で述べた法的措置を講じる場合には、その旨の決議を経る必要があります。基本的には総会決議によることになりますが、標準管理規約54条7号、60条4項のような規定がある場合には、理事会決議で足りると考えられます。

 

裁判所において手続をする際には、適切な内部手続をとっている資料として、管理規約のほか、これらの決議に関する議事録の提出を求められることが一般的です。

 

⑵遅延損害金

 

滞納者に対しては、遅延損害金を請求することができます。

 

管理規約に遅延損害金の規定がある場合には、それに基づく利率の遅延損害金を請求することになります(たとえば、標準管理規約60条2項は規定において利率を決めることとしています)が、規約に定めがない場合には年5%の割合となります。

 

また、遅延損害金は、各支払期日の翌日からとなりますので、法的措置を講じる場合には、各支払期日からの遅延損害金を請求するようにしておく必要があります。

弁護士費用を滞納者に請求できるケースとは?

⑶弁護士費用

 

法的措置を講じる場合には、弁護士に費用を支出して依頼することがあります。この弁護士費用については、管理規約に規定することで、滞納者に請求することができます。

 

たとえば、標準管理規約60条2項のように「違約金として」弁護士費用を負担させるにようにしておくとよいでしょう。この場合、実際に支払った弁護士費用を滞納者に請求できると考えられます(東京高裁平成26年4月16日判決(判時2226号26頁))。

 

上記のような管理規約の内容にしていない場合には、弁護士費用を負担しても、これを滞納者に請求することができなくなってしまいます。

本連載は、2017年3月25日刊行の書籍『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載マンション管理組合の「会計と税務」の基礎知識

マンション維持管理支援・専門家ネットワーク 代表・弁護士

東京東部法律事務所。1996年4月弁護士登録、東京弁護士会所属。民事全般・公害関係を専門とし、マンションなんでも相談会など他分野の専門家と協力し解決に取り組んでいる。

著者紹介

マンション維持管理支援・専門家ネットワーク 副代表・一級建築士

山野井建築設計工房 主宰。マンション管理支援協議会理事・技術者。ホームドクター株式会社検査員。江戸川区内マンション協議会顧問。管理組合理事長の経験も生かし、分かりやすい説明で管理組合の主体性を守護。建物維持管理のサポートや啓蒙活動を専門とする。

著者紹介

マンション維持管理支援・専門家ネットワーク 副代表・一級建築士

株式会社象地域設計 取締役。マンション大規模修繕工事の劣化診断、設計への取り組みの他、団地の再生や既成市街地での共同建替えなど、住民の立場で合意形成に取り組む。

著者紹介

マンション維持管理支援・専門家ネットワーク 事務局長・マンション管理士

株式会社興和ビルメンテ 取締役 管理部長。管理組合や行政主催のセミナー講師、相談員として長年活躍。日本マンション学会理事。著書に『めざせ!マンション管理士・管理業務主任者』(日本能率協会マネジメントセンター)等。

著者紹介

管理組合・理事のためのマンション管理実務必携―管理組合の運営方法・税務、建物・設備の維持管理、トラブル対応

管理組合・理事のためのマンション管理実務必携―管理組合の運営方法・税務、建物・設備の維持管理、トラブル対応

大江 京子 山野井 武 佐伯 和彦 祢宜 秀之

民事法研究会

マンションに関する法律等の基礎知識はもちろん、会計・税務やコミュニティ条項、民泊など管理組合運営で気になる点をわかりやすく解説。民泊に関するモデル規約・細則も明示。

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