今回は、マンション管理組合の収益事業における「必要経費」の概要について見ていきます。※本連載では、マンション維持管理支援・専門家ネットワークの編著書『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、マンション管理組合に関連する「会計と税務」の基礎知識を紹介します。

「直接経費」と「共通経費」

前回の続きです。

 

マンション管理組合の収益事業には必要経費が認められます。必要経費には、収益事業について直接要した費用の直接経費と、収益事業と収益事業以外の事業に共通する費用である共通経費が考えられます。

 

⑴直接経費

 

直接経費としては、電気使用量メーターを別管理している携帯電話基地局の電気料、外部への駐車場募集費、広告宣伝費、管理組合が取得した太陽光発電設備の減価償却費、税務申告のための税理士報酬などが考えられます。

 

⑵共通経費

 

共通経費としては、区分所有者と外部使用者が混在する駐車場のメンテナンス費用、電気使用量メーターが共通の場合の携帯電話基地局の電気料、管理委託費のうち収益事業と非収益事業に共通する費用などが考えられます。

マンション建築当初の設備は減価償却の対象にならない

⑶共通経費の按分

 

管理組合等が収益事業と収益事業以外の事業を行っている場合における費用または損失の額の区分経理について、共通経費の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理するとされています(法人税法基本通達15-2-5)。

 

また、減価償却費については管理組合が収益事業を始めるにあたり「取得」した資産のみがその対象となり、マンション建築当初の設備は対象となりません。管理組合等で売電事業を始めるため太陽光発電のパネルを購入し、設置する場合には、減価償却費の対象資産となります。

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    本連載は、2017年3月25日刊行の書籍『管理組合・理事のためのマンション管理実務必携』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

    管理組合・理事のためのマンション管理実務必携―管理組合の運営方法・税務、建物・設備の維持管理、トラブル対応

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    大江 京子 山野井 武 佐伯 和彦 祢宜 秀之

    民事法研究会

    マンションに関する法律等の基礎知識はもちろん、会計・税務やコミュニティ条項、民泊など管理組合運営で気になる点をわかりやすく解説。民泊に関するモデル規約・細則も明示。

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