【社労士FPが解説】全額免除でも半分反映される…「国庫負担」の仕組み

老齢基礎年金の満額は84万7,300円(※1956年4月2日以降生まれの場合)であり、40年(480ヵ月)の保険料納付済期間があれば満額となります。つまり、1ヵ月の納付につき1,765円程度(84万7,300円÷480ヵ月)増える計算です。

しかし、第1号被保険者が国民年金保険料の免除を受けた場合、保険料を払っていなくても、国庫負担分が老齢基礎年金の額に反映される仕組みになっています。

月額の国民年金保険料を納めていた月は保険料負担分と国庫負担分を合わせて100%で計算されますが、全額免除を受けた期間も、国庫負担として2分の1(50%)が反映されるのです(※2009年3月以前の期間についての国庫負担割合は3分の1)。

アキヨシさんがこのまま60歳になるまで国民年金保険料を納付し続けた場合、保険料納付済期間は会社員時代の第2号被保険者期間(※20歳以上60歳未満の期間に限定)を含めて合計424ヵ月となります。一方、全額免除を受けた56ヵ月分については、すでに国庫負担の2分の1が反映されています。

そのため、老齢基礎年金は「84万7,300円×(424ヵ月+56ヵ月×1/2)/480ヵ月=79万7,874円」と見込まれるのです。

「90万円払って5万円しか増えない」…年金事務所で突きつけられた現実

つまり、すでに2分の1(国庫負担分)が反映されている56ヵ月分の全額免除期間を追納したとしても、新たに反映されるのは残りの2分の1(保険料負担分)だけとなります。追納の結果、老齢基礎年金は満額の84万7,300円になるものの、実際に増える額は4万9,426円(84万7,300円-79万7,874円)にとどまります。

1ヵ月あたりの納付で増える老齢基礎年金は、1,765円の半分の約883円(4万9,426円÷56ヵ月)になり、満額の84万7,300円を超えて増えることはありません。

過去56ヵ月分の保険料を追納する場合、当時の保険料額に加算額も上乗せされることもあり、その結果、合計で90万円以上かかる見込みですが、それによって増える老齢基礎年金は年間5万円弱にしかならないのです。