親が高齢になると、年金だけでは生活費を賄えず、子どもが仕送りをするケースもあります。親の暮らしを支えたいと思う一方、援助する側にも住宅費や教育費など、自分の家庭の支出があります。毎月の仕送りが当たり前になると、やめたくても言い出せなくなることもあります。親を思う気持ちと、自分の家計を守ること――その両立に悩む家族も少なくありません。ある親子の事例から、親への仕送りの在り方を考えます。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「母さん、ごめん」〈年金月10万円・72歳母〉に〈月5万円の仕送り〉を続けてきたが…45歳会社員の息子、とうとう迎えた限界と〈母の言葉〉に涙 ※写真はイメージです/PIXTA

母への仕送りは月5万円…45歳会社員が続けてきた親孝行

妻と高校生の娘との3人暮らしの会社員、佐々木大輔さん(仮名・45歳)。母・恵子さん(72歳・仮名)は、地方の持ち家で一人暮らしをしています。

 

大輔さんが母への仕送りを始めたのは、5年前のこと。父が亡くなり、恵子さんが一人暮らしになったのがきっかけです。遺産整理のため実家を訪れた際、母の収入が月10万円の年金だけだという事実を知ります。

 

「月10万円で暮らしていけると、到底思えませんでした。もちろん多少の預貯金もありました。ただ今後、病院だの介護だのでお金がかかることを考えると、当てにできるものではありませんでした」

 

最初は月3万円の仕送りでした。ただ日々、インフレを感じる昨今、お金が足りないだろうと、1万円、さらに1万円と仕送り額は増えていき、現在は月5万円を送っています。

 

大輔さんの年収は約650万円で、妻の収入もあります。夫婦で相談し、母への援助内容や金額を決めていました。母の生活が安定するなら、それでいいと考えたのです。

 

しかし、仕送りが続くにつれて、大輔さんの家計にも変化が生じます。娘の塾代や部活動にかかる費用が増え、住宅ローンの返済も続いていました。家族で外食をしたり、旅行に行ったりする機会も減りました。

 

「娘も高校生なので、親と一緒に行きたがらないということも、もちろんあります。でも生活が苦しいから自然とお金のかかることをしなくなった――という一面があることは否定できません」

 

転機となったのは、娘の進学について具体的に考え始めた昨年の秋です。大学の学費や通学費、受験にかかる費用を計算すると、今後は貯蓄を増やす必要があるとわかりました。

 

「全体的に家計を見直さないと」とため息をつく妻。妻としても、なかなか「お母さんへの仕送りを見直してほしい」とは言い出しにくかったのでしょう。大輔さん自身も「今月もありがとうね。本当に助かってる」と感謝を伝えられると、「仕送り額を考えたい」とは言い出しにくかったといいます。