高齢の親や祖父母が多額の資産を持っているからといって、将来の相続に向けて「老後の心配は何もいらない」と安心するのは危険かもしれません。死後にトラブルが発覚することもあるからです。本記事では、山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が、大切な家族の財産を悪意のある第三者から守るための相続準備と、「家族信託」や「成年後見制度」の活用法について解説します。
ばあちゃん、ウソだろ…「祖父の2.8億円」を相続した祖母が死去。遺品整理で目の当たりにした〈遺産の中身〉に34歳孫が震えたワケ【弁護士が解説】
祖父の「遺産2億8,000万円」を相続した祖母が死去。34歳孫が遺品整理で感じた不安
昨年の秋、都内の広告代理店で働くケンタさん(仮名・34歳)の祖母・ヨシコさん(仮名・享年85)が亡くなりました。葬儀を終えて親族が実家に集まり、遺品整理を始めたときから、ケンタさんは予期せぬ事態に直面することになります。
「祖母は15年前、亡くなった祖父から約2億8,000万円相当の遺産を相続していたはずなんです」
祖母のヨシコさんは祖父の死後、都内のマンションや地方の土地などの不動産を引き継ぎ、多額の現金も保有していました。
生前のヨシコさんは「相続税もしっかり払ったし、老後の心配は何もいらない」と口にしており、旅行や趣味を楽しんでいるように見えました。そのため、ケンタさんたち親族もすっかり安心しきっていたのです。
しかし、実際に遺品の整理が進むにつれ、ケンタさんたちの期待と安心は次第に不安へと変わっていきました。
貸金庫から出てきた「怪しげなパンフレット」と「不動産の売買契約書」
実家から見つかった通帳は全部で3冊ありましたが、どれを確認しても残高は数千円から、多くても数万円程度しかありません。証券会社の口座の書類も出てきましたが、ここ数年はまったく動いていない状態でした。
不審に思ったケンタさんたち親族は、銀行で所定の手続きを行い、ヨシコさんが契約していた貸金庫を開けることにしました。「多額の現金や貴金属が大切に保管されているのではないか」という淡い期待は、中身を見た瞬間に打ち砕かれました。
貸金庫に入っていたのは、見たこともない海外法人の怪しげな投資信託のパンフレットや、袖を通した形跡すらない高額な高級着物の購入控えの束だったのです。
「ばあちゃん、ウソだろ? なんだこれは……?」
さらにケンタさんを驚かせたのは、十数冊に及ぶ不動産売買の契約書でした。急いで登記簿を確認してみると、ヨシコさんが大切に所有していたはずの優良なマンションや土地のほとんどが、5年から6年前に相場よりはるかに安い価格で売却されていたことが判明しました。