結婚を考えるうえで「相手の収入」は気になるものです。特に、将来的に子どもが欲しい、マイホームも欲しいと考えれば、「この人の収入で生活していけるのだろうか」と不安になるのも無理はありません。最近では大企業を中心に初任給の引き上げも相次ぎ、SNSを覗けば友人の子どもや新築住宅や海外旅行などの写真が目に入ってきます。そんななか、5年間付き合った彼との結婚を考えながらも、「彼の年収が300万円にも届かない」という理由で一歩を踏み出せずにいる女性がいました。子どもやマイホームを望む場合、結婚相手の収入はどこまで重視すべきなのでしょうか。CFPの小川洋平氏が解説します。
「友人の夫は大企業のエリート会社員、私の彼は年収300万円の店長…」彼氏との結婚をためらう29歳女性が見落としている〈年収よりも考えるべきこと〉
大企業の会社員と結婚し、マイホーム購入…友人のSNSでさらにモヤモヤ
そんなとき、つい目に入ってしまうのがSNSです。
大企業に勤務する男性との結婚式の写真、新婚旅行で海外に行き、リゾートホテルに宿泊している写真、マイホームを購入した写真、休日に子どもと遊ぶ夫の写真――。
大学時代の友人のSNSを覗くと、幸せそうな写真がズラリと並んでいます。それを見るたび、美咲さんはつい考えてしまいます。
「私、このまま結婚して大丈夫なのかな……」
翔太さんの収入がこれから上がるのかどうか不安ですし、今の働き方を、40代、50代になっても続けるのかと考えると不安になってきます。
子どもが生まれても、平日の夜や土日にほとんど家にいないのだろうか……。
かといって、楽しそうに働く翔太さんに「転職してほしい」なんてとても言えません。翔太さんは今の仕事が好きです。創業当初から社長と一緒に育ててきた店に愛着があることも、美咲さんはよく知っています。
いずれ、本当にプロポーズされる日が来るかもしれない。そのとき、心から喜んで「はい」と答えられるのだろうか。
翔太さんを好きな気持ちとは別のところで、美咲さんは結婚に迷い始めていました。
結婚相手の「年収300万円」は、本当に問題なのか?
近年、大企業を中心に若手社員の賃金を引き上げる動きが目立っていますが、そうではない企業も多いものです。
厚生労働省の2023~2025年の「賃金構造基本統計調査」の平均値では、一般労働者の全国平均で25~29歳の所定内給与額は月26万8,300円、年間賞与その他特別給与額は69万2,200円です。20~24歳では月23万3,300円、年間賞与等は39万5,900円となっています。
もちろん、これは全国平均で、業種や企業規模、地域によって給与水準は大きく異なります。結婚すれば二人は一つの家庭を経営する共同経営者になるようなものです。その意味では、お互いの収入はもちろん重要です。
しかし、家計を考えるときに見るべき数字は「収入」だけではありません。同じくらい重要なのが、どんな生活を送り、何にいくら使うのかといった「支出」です。
例えば、二人が結婚したらどんな家に住みたいのか――。賃貸で十分なのか、それとも一戸建てが欲しいのか? 車は何を買う? 子どもは何人欲しくてどのような教育を受けさせたいのか?
外食はどのくらいしたい? 旅行にはどのくらい行きたいのか? 趣味にはどのくらいお金を使いたいのか?
こうしたライフスタイルによる支出の見込みにより、必要となる収入はまったく違います。世帯年収が高くても、それ以上のお金を使い続ければ家計は赤字です。
世帯年収が2,000万円を超えるような家庭でも、支出が膨らみ、貯金どころか毎月のクレジットカードの支払いが毎月苦しく、何とかお金をかき集めて払っているというご家庭もあります。
反対に、それほど収入が高くなくても、自分たちが大切にしたいものにはお金を使い、必要のないものには使わず、30歳過ぎで1,000万円を超える資産を築いているご家庭もあります。
将来必要と考えられる資産形成ができ、長期的に家計が成り立つのであれば、収入が一般的な水準よりも低くても問題があるとはいえないのです。