結婚を考えるうえで「相手の収入」は気になるものです。特に、将来的に子どもが欲しい、マイホームも欲しいと考えれば、「この人の収入で生活していけるのだろうか」と不安になるのも無理はありません。最近では大企業を中心に初任給の引き上げも相次ぎ、SNSを覗けば友人の子どもや新築住宅や海外旅行などの写真が目に入ってきます。そんななか、5年間付き合った彼との結婚を考えながらも、「彼の年収が300万円にも届かない」という理由で一歩を踏み出せずにいる女性がいました。子どもやマイホームを望む場合、結婚相手の収入はどこまで重視すべきなのでしょうか。CFPの小川洋平氏が解説します。
「友人の夫は大企業のエリート会社員、私の彼は年収300万円の店長…」彼氏との結婚をためらう29歳女性が見落としている〈年収よりも考えるべきこと〉
「一緒にいると落ち着く」5年間付き合った彼との結婚
佐竹美咲さん(29歳・仮名)は、地方の中小企業に勤務する会社員です。地元の大学を卒業後、新卒で現在の会社へ入社して7年。仕事にも慣れ、後輩を指導する立場にもなってきました。
そんな美咲さんには、5年間付き合っている彼氏の30歳の翔太さん(仮名)がいます。翔太さんが働いているのは、地元ではそれなりに名前の知られたダイニングバー。おしゃれな内装とおいしい料理が評判で、週末ともなれば予約を取るのも難しい人気店です。
翔太さんは創業当初から働くメンバーの一人で、社長の右腕とも呼ばれる存在です。創業時の苦労を社長と分かち合い、経営者の集まりなどで営業回りをする社長に代わって店を守ってきました。現在では店長としてアルバイトスタッフをまとめています。
常連のお客様からは「翔太君」と名前で呼ばれるほど打ち解けており、「店の顔」のような存在になりつつあります。仕事の話をする翔太さんは楽しそうで、そんな話を聞きながらカフェで話をするデートも美咲さんにとっても楽しい時間でした。
何より翔太さんは優しく、一緒にいて気を遣わなくてもいられる関係。気がつけば5年間も付き合っています。そのようななかで、二人の間には結婚を意識した話が増えてきました。
美咲さんは、翔太さんと家庭を持つことが嫌なわけではありません。むしろ、結婚するならこの人なのだろうと思っています。それでも、どうしても心に引っかかるものがありました。
どうしても気になる彼の年収
美咲さんが気にしていたのは、翔太さんの収入でした。翔太さんの勤務先は人気店とはいえ、社員は5人にも満たない小さな会社です。
そのため、店長の翔太さんであっても給与は月24万円ほど。賞与はほとんどないため、年収にすると300万円には届きません。創業当初は月収20万円にも届かなかったところから少しずつ昇給しているものの、結婚を考えると心もとなさが残ります。
美咲さんも、毎月の給与だけを見れば翔太さんとそれほど大きな差はありません。しかし、美咲さんの会社では夏と冬に賞与があり、年間80万円ほどが支給されます。それに加えて企業年金や福利厚生もあります。
もう一つ気になるのが、翔太さんの働き方でした。
飲食店ですから、当然ながら仕事は夜が中心です。世間が休んでいる週末ほど忙しくなります。休日でも店から連絡が入り、何かトラブルがあれば対応することもあります。
今は結婚をしていないので、それでも問題ありません。翔太さんがデートの予定をキャンセルして仕事に向かっても、美咲さんは機嫌を損なうことはありませんでした。しかし、結婚して子どもが生まれたらどうなるのか――。美咲さんの不安は少しずつ大きくなっていきました。