厚生労働省の『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、単独世帯は1,899万5,000世帯、全世帯の34.6%に達し、過去最高となりました。高齢になって一人で暮らす人が珍しくなくなるなか、日々の生活を支えてくれるのが、必ずしも「法的な家族」とは限りません。本記事では、CFPの山原美起子氏が、幼少期から仲の良かった80歳従姉を長年支え続けた74歳女性の事例をもとに、相続をめぐるシビアな現実を解説します。
「悔しいです…」80歳従姉を介護した74歳女性が絶望。〈遺産3,200万円〉を奪い去った“予期せぬ相続人”の正体【CFPが解説】
【CFPが解説】法定相続人をめぐるシビアな現実…遺産を渡すためには「遺言書」の作成が不可欠
法律が認める相続人の範囲はシビアに線引きされています。配偶者は常に相続人となりますが、それに続く優先順位は「①子ども(他界している場合、孫・ひ孫)」「②父母または祖父母」「③兄弟姉妹(他界している場合、甥・姪)」までです。
どれほど強い絆で結ばれていても、いとこや内縁のパートナーなどが自動的に相続人になれる枠組みは用意されていません。
本来、法定相続人が一人もいないケースであれば、いとこであっても家庭裁判所に認められることで「特別縁故者」として遺産を分けてもらえる可能性が残されています。しかし今回は、音信不通だった弟が存在したことによって、そのかすかな道すら完全に閉ざされてしまいました。
マユミさんに唯一残されていたのは、介護の貢献度に応じて相続人である弟に金銭を請求できる「特別寄与料」という権利でした。
しかし、日々の買い物や病院への付き添いにかけた時間、費用の詳細な記録を残していなかったマユミさんは、「請求しても認められないだろう」と諦めるしかありませんでした。
法定相続人ではない人へ確実に財産を渡すには、生前に遺言書で指定する「遺贈」の手続きが不可欠です。ヨシコさんのように配偶者や子どもがおらず相続人が兄弟姉妹だけの場合、兄弟姉妹には最低限の取り分である「遺留分」がないため、有効な遺言書さえあれば全財産をマユミさんに遺すことも可能でした。
遺言書には手軽な「自筆証書遺言(法務局保管制度の利用推奨)」と、公証人が作成する確実な「公正証書遺言」があります。不動産がある場合はもちろん、今回のように法定相続人ではない親族へ財産を遺すなら、公正証書遺言が安心です。
あとから現れた疎遠な弟から「本当に本人が書いたのか」「騙されて作成させられたのではないか」といった疑念を持たれてトラブルに発展するのを未然に防ぐことができます。