定年後にまとまったお金を手に入れたことで、優雅な老後の暮らしを夢見るシニアは珍しくありません。しかし、日々の“ちょっとした”贅沢や孤独感からの浪費によって、潤沢だったはずの資産がいつの間にか激減してしまうケースも……。本記事では、まとまった老後資金で自由な生活を送っていた69歳女性の事例をもとにCFPの山原美起子氏が、おひとりさまの老後破産を防ぐ対策を解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
月15万円の美容コース、250万円のダイヤで消えた老後資金。「3,500万円あったはずが…」69歳おひとりさま女性に迫りくる〈老後破産〉の足音【CFPが警告】
退職金と相続で手元資金3,500万円…65歳でリタイアしたおひとりさま女性の「優雅な生活」
生涯独身で子どももいないミチコさん(仮名・69歳)は、35年ローンを完済した郊外のマンションで一人暮らしをしています。
長年勤めた会社を60歳で定年退職し、再雇用で65歳まで働いたミチコさん。当時の退職金は約1,600万円。数年前に相続で約900万円の現金を手にしたことも重なり、65歳当時の預貯金と合わせた手元資金は約3,500万円ありました。
退職直後は高級ランチや温泉旅行を楽しんでいたものの、半年もすると友人を誘っても「今日は孫の世話があるの」「夫とでかける用事があって」と素っ気ない返事が増え、予定のない日が続きます。
取り残されたような寂しさを感じたミチコさんは、「せめて若々しく綺麗でいたい」と美容クリニックで月額15万円のアンチエイジングコースを年契約。「お美しくて、とても60代には見えません」という店員の褒め言葉にまんまと乗せられ、化粧品やサプリメント、美容家電を次々と購入していきました。
「これまで一人で頑張って働いてきた。老後資金も十分あるし、少しぐらい贅沢しても問題ない」と言い聞かせ、“自分へのご褒美”はエスカレートしていったのです。
わずか4年で2,500万円が消滅…69歳女性が青ざめた「老後破産」の足音
ところがリタイアから4年が経ったある日、通帳を見たミチコさんは顔面蒼白になりました。3,500万円あった残高が間もなく1,000万円を切ろうとしていたのです。
美容関連だけでも900万円以上の出費、そこに洋服やブランドバッグ、ついには250万円のダイヤのネックレスを分割購入するなど、毎月の年金収入を大きく超える赤字生活が4年続いた計算になります。
「3,500万円あったはずなのに、これだけしか残ってない!? これから先、生きていけるのか……」
まだ70歳前のミチコさんに、将来への不安が押し寄せました。
まとまった老後資金があっても、気づかぬうちにお金を減らしてしまうケースは少なくありません。ミチコさんが直面した老後破産の危機を防ぐには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。