「世帯年収1,500万円あれば余裕」と、約1億円のタワマンを購入した共働き夫婦。しかし、妻の介護離職による収入減や金利・教育費の上昇が重なり、毎月39万円近い住居費が家計を圧迫します。本記事では、タワマン購入から7年が経過した51歳男性の事例をもとに、老後破綻を防ぐための住宅ローン返済の考え方をAFPの武田拓也氏が解説します。
「世帯年収1,500万円だから余裕」のはずが…51歳男性が〈1億円タワマン〉購入で後悔。「月38.5万円の住居費」の先に待ち受けていた結末
利用者の平均年齢は43.3歳…老後まで返済が続く「住宅ローン」
住宅金融支援機構の『2025年度フラット35利用者調査』によると、利用者の平均年齢は43.3歳です。1ヵ月あたりの予定返済額は平均12万3,800円、平均総返済負担率は22.8%となっています。
住宅ローン審査で使われる返済負担率は、基本的に現在の年収をもとに計算されます。しかし、現在の収入が定年後も続くわけではありません。
共働き夫婦の場合、どちらかの収入が減っただけで家計が苦しくなることがあります。病気、介護、子どもの進学、転職など、40代以降には働き方が変わる要因がいくつもあります。
住宅購入時には「夫婦が現在の年収で働き続けるケース」だけでなく、「収入が減少するケース」でも返済できるか確認する必要があります。
年金生活での返済は困難…「退職金で完済」の危険性
2026年度の標準的な厚生年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額23万7,279円です。ただし、これは平均的な収入で40年間就業した場合のモデルであり、実際の受給額は加入期間や収入によって異なります。
今回の夫婦のように、65歳以降も月25万円以上の住宅ローン返済が残っていれば、年金だけで返すことは困難です。
老後には住宅ローン以外にも、固定資産税、管理費、修繕積立金、医療・介護費などがかかります。「退職金で完済すればよい」と安易に考えるのは危険です。
繰り上げ返済と手元資金、どちらを優先すべきか?
繰り上げ返済をすれば、住宅ローンの元本と将来の利息を確実に減らせます。特に完済年齢が70歳を超える場合は、期間短縮型の繰り上げ返済によって定年前後の完済を目指すことが有効です。
ただし、手元資金をすべて繰り上げ返済に回してはいけません。一度返済したお金は、病気や介護、教育費が必要になっても簡単には戻せないからです。
繰り上げ返済を行う前に、少なくとも以下の資金を確保しておく必要があります。
・収入減や失業に備える生活予備資金
・子どもの教育資金
・住宅の修繕、リフォーム資金
・親の介護に備える資金
・夫婦の老後生活資金