妻の介護離職と金利上昇…崩れていくローン返済計画

タワーマンション購入から3年後、メグミさんの母親に介護が必要となりました。仕事と介護の両立が難しくなったメグミさんは勤務時間を減らした結果、年収は600万円から約250万円に減少。世帯年収は1,500万円から1,150万円に下がりました。

また、長女の私立大学進学が決まり、入学金や授業料、通学費などの教育費も増加しました。そして同時期に、変動金利型の住宅ローン金利も上昇し始めたことに加え、管理費と修繕積立金も合計月6万円から8万円へ上がり、住居関連費は上がる一方です。

家計が厳しくなってきたため、ケンジさん夫婦は毎月の積立投資を中止しました。旅行や外食も減らし、ケンジさんのボーナスは住宅ローンと教育費の補填に消えていきます。それでも足りない月は、マンション購入後に残していた預貯金を取り崩しました。

「この家のローンを払うために…」思い詰めた妻のひと言で“苦渋の決断”

ある日、思い詰めた表情をしたメグミさんが、ケンジさんにポツリとこぼしました。

「私たち、この家に住むためというより、この家のローンを払うために働いているみたい。母の介護にもお金が必要だし、私たちの老後資金はどうするの……」

メグミさんの言葉を聞いて将来に対する不安を目の当たりにしたケンジさんは、65歳時点の住宅ローン残高を確認しました。当初の住宅ローン金利が変わらない前提で計算しても、65歳時点の残高は約3,900万円です。

退職金で完済することも考えましたが、ケンジさんの退職金見込額は約2,500万円です。住宅ローンの返済に使えば、老後の生活資金が残りません。

「このまま家計の赤字が続けば、いずれ破綻する。せめて高く売れるうちに手放すしかないか……」

苦渋の決断の末、ケンジさんは購入から7年目にタワーマンションの売却を決意。複数の不動産会社へ査定を依頼し、郊外の中古マンションへの住み替えへと踏み切ったのです。

「銀行が9,000万円を貸してくれたから、自分たちなら返せると思っていました。でも、『借りられる金額』と『老後まで無理なく返せる金額』は、まったく違ったのですね」

幸い、ローンが残らない金額で売却ができましたが、ケンジさんは購入時の判断を後悔しました。