近年、資産運用による収入と労働収入を組み合わせ、早期退職を目指す「サイドFIRE」に関心が集まっています。しかし、十分な資産を築いたつもりでも、独立後の収入減少や生活費の増加、相場の下落などによって、計画が崩れることもあります。本記事では、44歳のときに5,000万円の資産を手に会社を辞めたものの、5年後に資産残高が1,500万円まで激減してしまった男性の事例をもとに、サイドFIREを検討する際に注意したいポイントについて、辻本剛士CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
考えが甘かったです…44歳でサイドFIREに踏み切った〈資産5,000万円〉独身男性の大誤算。5年後、「会社員に戻りたい」と後悔したワケ【CFPが解説】
「残り1,500万円…」5年後、直面した厳しい現実
そして5年後、資産残高を確認したタケシさんは青ざめます。
「残り1,500万円……」
ある日、フードデリバリーの仕事中、かつての同僚たちが楽しそうに店で食事をしている姿を目にしました。
「会社員に戻りたい……」
自由な生活を求めて始めたサイドFIREでしたが、タケシさんが思い描いていた生活とは大きく異なるものになっていました。
【CFPが解説】「サイドFIRE」で見落としがちなリスク
近年は、サイドFIREといった生活スタイルに関心を持つ方が増えつつあります。サイドFIREとは、資産運用による収入を得ながら、不足する生活費を労働収入で補う生活スタイルです。
日本財団ジャーナルが公表した「18歳意識調査」によると、「兼業・副業・パラレルキャリア」に関心がある人は約6割。「早期退職/FIRE」や「不労所得生活」についても、半数近くが関心を示しています。

出典:日本財団ジャーナル 若者の価値観から考える、個人の幸せな人生と地方創生を両立するヒント ~日本財団18歳意識調査アンケートより~
タケシさんの場合、毎月の生活費35万円に対して、資産運用による収益を月約17万円と見込み、不足する18万円を仕事で稼げば生活できると考えていました。
しかし、独立後に毎月18万円以上の収益を安定して得られるとは限りません。特に会社員時代とは関係のない仕事に挑戦する場合、実績や取引先を一から作る必要があり、収入が安定するまで時間がかかることもあります。
また、個人事業主になると、次のような支出も自分で負担する必要があります。
・税金や社会保険料
・税理士などの専門家に支払う費用
・パソコンなどの事務機器や消耗品費
・広告などの営業費用
・取引先との接待交際費
・仕事に必要な交通費
・税理士などの専門家に支払う費用
・パソコンなどの事務機器や消耗品費
・広告などの営業費用
・取引先との接待交際費
・仕事に必要な交通費
さらに、物価上昇や修繕積立金の増額などで、生活費が増えることもあります。株式相場が下落すれば、運用資産そのものが減少する可能性もあるでしょう。
サイドFIREを検討する際は、現在の資産額や生活費だけで判断せず、将来の収入や支出、資産価格の変動なども考慮し、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。