「資産運用を始めたいのですが、何を買えばいいですか?」――FPとして相談を受けていると、この質問を非常によく耳にします。世の中では、「資産運用」と「投資」がほぼ同じ意味で使われているケースが少なくありません。しかし、本来の意味で考えると、資産運用と投資は同じではありません。投資は資産運用において活用される選択肢の一つであり、資産運用はもっと広い概念です。では、本来の資産運用とは何なのでしょうか。今回は、資産運用の本当の意味についてFPの前田敏氏が解説します。
資産運用は何のために行うのか
資産運用について考える際、まず整理したいのは、「何のために資産運用を行うのか」という点です。例えば、以下のような目的が考えられます。
- 老後を安心して暮らしたい
- 子どもに十分な教育機会を与えたい
- マイホームを取得したい
- 相続に備えたい
- 将来のお金に対する不安を減らしたい
これらの目的を実現するために、「老後資金を準備する」「教育資金を確保する」「住宅購入資金を計画的に準備する」といった具体的な目標が生まれます。
資産運用とは、こうした目標を達成するために資産を管理・活用する手段です。つまり、資産運用そのものが目的ではありません。人生で実現したいことがあり、その実現を支える手段として資産運用があるのです。
資産運用は投資商品だけを考えるものではない
資産運用というと、投資信託や株式だけをイメージする方が少なくありません。しかし、FPが実際に確認するのは、下記を含めたさらに広い範囲です。
- 預貯金
- 株式
- 投資信託
- 債券
- 不動産
- 保険
- 公的年金
- 企業年金
- 退職金
さらに、住宅ローンや自動車ローン、その他の借入金といった負債も重要な要素です。なぜなら、資産運用を考える際には、保有している資産だけでなく、負債も含めた全体像を把握する必要があるからです。