子どもの結婚など人生の節目には、少しでも資金援助をしてあげたいのが親心です。一方で、定年退職後の生活には、住宅の修繕や医療・介護など、想定していなかった高額な支出がつきまとうリスクがあります。今回紹介するのは、一人娘の結婚に300万円を援助したことで、老後資金に大きな不安を抱えることになった60代夫婦の事例です。子どもへの援助と老後資金のバランスについて、辻本剛士CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
娘に援助しすぎました…退職金1,000万円・62歳夫の悲鳴。妻の提案で〈結婚祝い・計300万円〉を出した結果、直面した「老後資金」枯渇問題【CFPが解説】
「老後のお金がなくなっても知らないぞ」…妻に押し切られた追加援助
結婚祝いとして100万円を渡すことには、夫婦ともに納得していました。しかし、結婚式の話が進むなか、サトコさんが思いがけないことを口にします。
「式にもお金がかかるでしょう。あと200万円くらい出してあげない?」
突然の提案に対して、コウキさんは反論しました。
「車に200万円、結婚祝いに100万円使って、残りは700万円だぞ。住宅ローンだってあと8年ある。これからほかにもお金が必要になるかもしれない」
「めでたいことなんだからいいじゃない。一人娘にお金を惜しむの?」と、サトコさんは一歩も引かなかったため、結局コウキさんは「老後のお金がなくなっても知らないぞ」と言いながらも、追加で200万円を援助することに。
贈与税の対象とならないよう、このお金はユカさんに直接渡すのではなく、結婚式場へ親名義で直接振り込みました。これにより、退職金は残り500万円になりました。
それでも、ユカさんの晴れ姿を見たコウキさんは「出してあげてよかった」と感じたといいます。
「だから言ったじゃないか!」修繕費400万円の発生で勃発した夫婦の大喧嘩
ところが数ヵ月後、自宅で雨漏りが発生。修理に約200万円、さらに屋根や外壁の劣化も見つかり、合わせて400万円の修繕費が必要になりました。
修繕費を支払えば、残る資金はわずか100万円です。
「だから言ったじゃないか! あのとき200万円も出す余裕なんてなかったんだ。住宅ローンだって、まだ残っているんだぞ!」
怒りをあらわにするコウキさんに、サトコさんも負けじと言い返します。
「こんな修繕が必要になるなんて、あのときはわからなかったでしょう!」
娘の結婚を心から喜び、祝い金を送り出したはずの夫婦。しかし、想定外の出費をきっかけに、当時の判断をめぐって激しい口論になってしまいました。